日本人の7割ができていない…「鼻呼吸」でウイルス感染を防ぐ

もうひとつ、質のよい呼吸のために大切なことがあります。それは、「口呼吸」ではなく、「鼻呼吸」をすることです。なぜなら、鼻で呼吸をするほうがウイルスに感染しにくいからです。

たとえば、鼻で呼吸すると、鼻毛がフィルターの役割をして、空気中のウイルスや細菌を取り除いてくれます。そうして、きれいな空気だけを気道や肺に送り届けることができるのです。

一方、口で呼吸すると、ウイルスや細菌を含んだ空気が、そのまま気道や肺に送られてしまうことになります。

口呼吸には、他にもデメリットがあります。

口の中には、約1,000~6,000億個の細菌がいると言われています。この細菌が増えていくと、さまざまな病気にかかりやすくなります。細菌を増やさないためには、唾液の量を減らさないことが重要です。なぜなら、唾液は、口の中の粘膜を覆って、細菌の繁殖を防ぐ役割をしているからです。

しかし、口呼吸をしていると、口の中が乾燥して唾液の量がどんどん減ってしまいます。本来、唾液の中にいる免疫細胞が細菌から守ってくれているわけですが、唾液が減ると免疫細胞も減るため、どんどん細菌が増えていきます。そこから、虫歯や歯周病など、さまざまな病気にかかりやすくなってしまいます。

また、口呼吸は喉や気道も乾燥します。喉や気道は、綿毛や粘膜に覆われていて、細菌やウイルスを排出する役割があります。それが乾燥すると、細菌やウイルスを排出する力が弱まり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

肺の中に直接冷たい空気が送られてしまうのも、口呼吸のデメリットです。それは、肺の免疫力が低下して、肺を痛める原因にもつながります。

鼻呼吸をすれば、冷たい空気は鼻の粘膜を通ることで温められ湿度も加わります。途中の喉を通るときにも肺に届くときにも、温かく湿った空気となって刺激を少なくします。

じつは、日本人の7割が口呼吸と言われています。無自覚で口呼吸をしている人も多いので、気になる方は一度専門家の診察を受けてみるとよいでしょう。