投資信託を比較する際「やってはいけないこと」

投資をする上で、さまざまな商品を比較検討することは大切です。ただし、無駄な比較をしていては、タイムパフォーマンスの点で損をしてしまいます。よって、投資信託を比較する際には、ポイントを絞って検討することが大切です。そのために、まずやってはいけないことから挙げます。

①国内株式で運用する投資信託と外国株式で運用する投資信託の比較

投資対象が異なれば、運用結果が異なるのは当然です。世界経済全体を読む上で、日本の株式と外国の株式の値動きを予想するのは構いませんが、「〇〇日本株ファンド」と「△△外国株ファンド」を比較するのは無意味と考えられます。

②パッシブ運用の投資信託とアクティブ運用の投資信託の比較

パッシブ運用とアクティブ運用の投資信託を比較すると、目につくのが信託報酬率の違いです。ただ、パッシブ運用の方が信託報酬率は低くなるのは当たり前なので、時間をかけて比較するほどのものではありません。

③分配金の比較

分配金が運用結果の良し悪しに与える影響は微々たるものなので、気にしなくても大丈夫です。

商品比較の正しい方法

商品比較ですべきなのは、「似たような投資信託を比較する」ことです。

新NISAの中で、投資対象や運用方針等で投資信託を探していくと、必ず似たような投資信託が複数見つかるはずです。もし、似たような投資信託が見つからなければ、唯一見つかったその投資信託に決めても大きな問題はないでしょう。

似たような投資信託を見つけた時の比較ポイントは以下の3つになります。

①同資産で運用するパッシブ運用の信託報酬率

パッシブ運用の投資信託の信託報酬率は低くなる傾向があり、年々、より低コストの商品が開発されています。コストが低くなる分だけ有利になるとも考えられますが、ベンチマークと連動性を保つためのメンテナンスが難しくなることが不安視されます。信託報酬率が低ければ必ず長期的なパフォーマンスが高まるわけではなく、低ければ低いほど良いとは断言できません

②アクティブ運用の具体的な運用方針

ベンチマークを上回るパフォーマンスを示すために、アクティブ運用の投資信託では、銘柄の選別を工夫しています。その工夫の代表例として、主に割安な銘柄で運用する「バリュー型」、主に成長力に期待できる銘柄で運用する「グロース型」などが挙げられます。

短期間でベンチマークを大きく上回るケースは稀ですが、長期的にみると、ベンチマークを大きく上回っているものもあります。中身を見比べた結果、「このやり方なら、より高いパフォーマンスを示してくれそうだ」と感じたときには、その投資信託を利用してみるのもありです。

③リターンとリスクの両方で見比べる

どんなに高いリターンが期待できる投資信託でも、リスクが大き過ぎるものは良い投資信託といえません。逆に、リターンがそこそこでも、リスクがものすごく小さくなっているのであれば、良い投資信託と考えられます。

投資信託では、過去のリターンやリスクの情報を開示していますし、その関係性を数値化した「シャープレシオ」も見ることもできるので、投資信託を比較する際には有効に活用してみましょう。

出所:『ファイナンシャルプランナーが手取り足取り教える新NISA』(彩図社)より抜粋
[図表1]シャープレシオ 出所:『ファイナンシャルプランナーが手取り足取り教える新NISA』(彩図社)より抜粋