若者のレトロブームで、昨今再び注目を集めている喫茶店。なかでも、アルコールがメニューになく存分にコーヒーを楽しめる喫茶店のことを「純喫茶」といいます。旅行、お散歩、買い物帰りなど、たまには喧騒を離れてコーヒーと空間に思う存分浸ってみるのはいかがでしょうか。文筆家の甲斐みのり氏が『愛しの純喫茶』(オレンジページ)より、大森・新橋エリアでおすすめの純喫茶を2ヵ所紹介します。
仕事に疲れたら“駅直結のオアシス”でプリン・ア・ラ・モードはいかが?…50年以上の歴史を持つ「至高の純喫茶」2選【大森・新橋】
頑固な父のこだわりを受け継ぎ、パスタもパフェも一から仕込む
現在、店を切り盛りするのは、父の跡を継いだ2代目マスター・耕一さん。平日は朝から晩まで営業時間が長いため従業員の手も借りながら、母・栄子さんや姉や甥、家族総出で営業を続けてきた。
「父には出来合いのものを出すのを良しとしない頑固なこだわりがありました。スパゲティのミートソースは1から仕込みますし、チョコレートパフェのチョコレートソースも手作りです。やむを得ず冷凍食品を使うことがあっても、必ずどこかにオリジナルのものを加えます」と耕一さん。そのため仕込みに時間がかかり、毎朝始発の電車で出勤している。
プリンだけで3時間半…もっとも手間暇をかける「プリン・ア・ラ・モード」
中でも、もっとも手間をかけているのが、不動の人気メニュー「プリン・ア・ラ・モード」の主役となる、ほんのりラム酒が利いたプリン。卵、牛乳、砂糖を混ぜて下ごしらえを行い、オーブンで焼いて、蒸らし、それから冷やす。1個のプリンの完成までに3時間半かかるというから驚きだ。
キッチンが小さな分、1日に作れる量も限られていて、夕方には売り切れてしまうことも多い。プリン、アイスクリーム、生クリームとともに、コルトンディッシュに盛りつけられるフルーツも、バナナ、メロン、ウサギ形のりんごは、丁寧にカット。
さらに、黄桃、みかん、パイナップル、さくらんぼをバランスよくのせて、あまい宝石箱が完成する。
これが、創業当時から付き合いのあるコーヒー豆の卸会社が店のためにブレンドする豆を使い、ハンドドリップで淹れる濃厚なコーヒーと実によく合う。
「ここ数年は、昔ながらの固めのプリンと紹介いただくことが多いのですが、私としては父から受け継いでいるやり方を続けてやっているだけなんです」。カウンターの中からそう話す耕一さんの手は、決して休むことがなかった。
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JR「新橋駅」より徒歩約1分
住所:東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館B1
TEL:03-3573-2156
営業時間:8:00~20:00(月~金曜)※L.O.19:30
11:00~17:30(土曜)※L.O.17:00
土曜は途中休憩あり。材料切れで早く閉店する可能性あり。
定休日:日曜・祝日
http://www.shinbashi.net/shop/200602
甲斐 みのり
文筆家