「人生100年時代」に備え、より暮らしやすい環境を求めて家の「住み替え」を検討する人も少なくありません。住み替え先として、「最近は築年数の古いマンションが多く取引されるようになった」と、不動産コンサルタントの高橋正典氏は言います。日下部理絵氏、高橋正典氏、畑中学氏による著書『絶対に失敗しない! 中古マンションの見極め方』(ビジネス教育出版社)より、中古マンションを購入する際に検討すべきポイントを見ていきましょう。
住み替えで「中古マンション」の購入を考えたら〈物件選び〉と並行して必ずやっておきたいこと【不動産のプロが解説】
「リフォーム済」と「リフォーム前」どっちがおトク?
中古住宅を検討している方が実際に物件の内覧に行くと、いわゆる生活感が残っていたり、設備も古かったりする。お世辞にも「夢のマイホーム」とはいえない現実的な暮らしを見て判断することになる。マンションなど中古住宅は買い替えに伴って売りに出されることが多い。
売主は今の家を売ったお金を次の購入物件に充当しようとするため、住みながら売却することも多く、当然ながらこうした物件を購入する場合には、購入後にリフォームやリノベーションをする必要があり、そのイメージを固めるだけでなく、お金の算段も必要となる。
それに対して、「リフォーム済」の綺麗な物件を購入する手もある。統計上2割程度と言われれるリフォーム済だが、どちらが「夢のマイホーム」のイメージか、と聞かれれば、やはりリフォームされた綺麗な状態の物件の方が素敵だし、判断もしやすいといえる。
「リフォーム済」物件はどうしても割高になる
では、購入する立場からみて、「リフォーム済」の物件と、「リフォーム前」の物件とを比べると、どちらが得なのだろうか?
まず金銭的な面から比較してみよう([図表]参照)。
売却する人(個人)が、手放そうとする物件にあらためてお金をかけてリフォームなどを行ってから売りに出すことは皆無であることから、「リフォーム済」物件の売主は、個人ではなく不動産会社である。売却する人のほとんどは、まず不動産会社へ仲介を依頼して、一般の方に向けて売りに出される個人から個人への売買となるが、売主はさまざまな事情から不動産会社への買取り(下取り)を選択する場合もある。
こうして出てくる物件は、不動産会社が買い取ってからリフォームなどを行い、再販売する。少しでも高く売ることによって利益を出すことが目的なので、当然、販売価格には利益が上乗せされる。また、事業を行う上でさまざまな経費がかかり、それらも全て上乗せされて価格が決まる。このため、金銭的な面から比較すると、総論としては「リフォーム済」の物件の方が高くなるということだ。