2年で元が取れる「付加年金」のしくみ

公的年金の第1号被保険者の人がもっとも手軽に年金を増やせる方法が「付加年金」です。

毎月の掛金はわずか400円! しかも2年で元が取れます。

付加年金は、国民年金の保険料に400円をプラスして納付します。受け取る金額は、「200円×加入した月数」で計算します。

仮に、10年間(120ヵ月)加入したとしましょう。

支払った保険料 4万8,000円

付加年金の金額 年額2万4,000円

基礎年金に2万4,000円上乗せした金額を、一生涯受け取れます。

保険料と受給額をよく見比べてください。受け取り始めて2年目には、支払った保険料と同じ金額になります。あとは得するのみです。

付加年金は国民年金に上乗せするしくみなので、最長40年間(480ヵ月)の加入が可能です。

40年間、保険料を納付すると、支払い総額は19万2,000円です。一方、付加年金は年額9万6,000円です。どれだけ積み上がっていくか、年数を追って見てみましょう。

〈受け取り総額(累積)ー保険料との差額〉

1年目 9万6,000円   △9万6,000円

2年目 19万2,000円   0円

10年目 96万円      +76万8,000円

20年目 192万円     +172万8,000円

40年目 384万円     +368万8,000円

19万2,000円が、368万8,000円へ。なんと20倍になって戻ってきます。65歳以降は毎月8,000円が受け取れます。付加年金の受け取り額は定額なので、物価スライドには影響されないところもいいですね。

ちなみに、基礎年金を繰下げ受給すると、付加年金も同じように増額されます。70歳まで繰下げれば9万6,000円が42%増額され、13万6,320円になります。付加年金の条件に該当している人は、「使わないと損」といっていい制度ですね。

このように付加年金は超お得な制度なのですが、なんといっても金額が小さい点がネックです。基礎年金の満額78万900円(2021年度)と、付加年金マックスの9万6,000円を合わせても、87万6,900円。生活するには足りません。付加年金をつければ安心とまではいかないのです。

出所:長尾義弘氏著『60歳貯蓄ゼロでも間に合う 老後資金のつくり方』(徳間書店)より引用
付加年金のしくみ 出所:長尾義弘氏著『60歳貯蓄ゼロでも間に合う 老後資金のつくり方』(徳間書店)より引用

長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー