自分が生涯受け取れる年金額について「きちんと把握できている」という人は、実は決して多くありません。「ねんきん定期便を見ればわかる」などと安易に考えている人は、“申請すればもらえる年金”をもらえずに損をしてしまうことも……。「ねんきん定期便には載っていない年金」について、石川亜希子AFPが解説します。
加給年金?なんだそれ…年金月20万円の66歳・元サラリーマン、ゴルフ場で愕然。国が教えてくれない「申請すればもらえる年金」【FPが解説】
加給年金の「受給条件」と「受給可能額」は?
加給年金は、本人が年金を受給するようになったときに、配偶者や子どもがいて一定の条件を満たしている場合、年金が加算される仕組みのことです。年金の受給開始時に配偶者や子といった養わなければならない家族がいる場合に上乗せされることから、年金の“家族手当”ともいわれています。
加給年金を受給するための条件については、次のとおりです。
〈本人の受給条件〉
・厚生年金保険の加入期間が20年以上あること
・65歳到達時点で、本人に生計を維持されている配偶者または子どもがいること
〈配偶者・子どもの受給条件〉
・65歳未満であること、あるいは、18歳到達年度の末日までの間の子であること
・本人に生計を維持されていること
「本人に生計を維持されている」とはわかりやすく言い換えると、配偶者が「同居している」「厚生年金の加入期間が20年以上ある年金をもらっていない」「年収が850万円未満」ということになります。
では次に、具体的にいくらもらえるのか見てみましょう。対象によって次のとおりとなります。
〈加給年金の対象者別受取可能額〉
・配偶者22万8,700円
・1人目・2人目の子……各22万8,700円、3人目以降は各7万6,200円
なお、令和5年度は物価上昇などに伴い、令和4年度よりも少しだけ増額されました。
加給年金の対象者が配偶者の場合…「特別加算」が加わる
さらに、対象が配偶者の場合は、生年月日に応じて加給年金に「特別加算」という上乗せ分が加わることになります。
〈受給権者の生年月日ごとの配偶者加給年金額の特別加算額(令和5年)〉
昭和9年4月2日~昭和15年4月1日……3万3,800円
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日……6万7,500円
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日……10万1,300円
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日……13万5,000円
昭和18年4月2日以後……16万8,800円