65歳までに2,800万円貯めると100歳までに4,000万円使える?

100歳から遡る「逆算の資産準備」の考え方というのが紹介されていて、80歳からの20年間は「公的年金のほかに毎月10万円ずつ資産を引き出して生活費に充てたい」と計画すると、80歳の時点で2,400万円=10万円×12か月×20年)あれば、預金に金利が付かないとしても、この計画が達成できることになります。

次に、80歳で2,400万円を残す計画ですが、資産運用を続けていることを前提にして、65歳から80歳までの15年間は、「毎年3%で運用して、資産残高の4%を引き出す」ことを想定すれば、65歳時点で2,800万円の資産があればいい、ということです。

野尻哲史氏の本では、169ページにわかりやすい図も掲載されています。私が驚いたのは、資産運用を続けながら、定率引き出しを行うことで「収益率配列のリスク」を避けることができ、資産を減らさずに引き出し総額を増やすことができるという点です。

この例では、資産の引き出し総額は、65歳から80歳の15年間で1,560万円、80歳から100歳までの20年間で2,400万円となり、約4,000万円を使うことができるということです。

「収益率配列のリスク」というのは簡単にいうと、資産運用の収益率が毎年均等ではないため運用パフォーマンスの波によって生じるリスクのことです。

それにしても、65歳時点で2,800万円の資産があれば、「資産活用の技術」を駆使することで、100歳までの35年間で4,000万円ものお金を引き出して使える、というのは驚きでした。

大杉 潤
経営コンサルタント/ビジネス書作家/研修講師