お金とは、「安心」を買うことができる便利な道具であるゆえ、なくなることで私たちを不安にさせる存在です。しかし、「信頼できる人間関係を築くことで、お金の不安も解消されていく」と、作家の有川真由美さんは言います。有川氏の著書『お金の不安がなくなる小さな習慣』より、「お金」と「人間関係」の関係性を詳しくみていきましょう。
損得でなく、「一緒にいると楽しくなる人」とつき合う
まず、「一緒にいて楽しい」「心地いい」「元気になれる」と感じる人間関係があると、お金の不安が限りなく小さくなるという話をしましょう。
お金の流れによって人間関係の立場が強くなったり弱くなったり、お金のあるなしで人が寄ってきたり離れたり……とお金によって人間関係が左右されると思われがちですが、本来のあるべき姿は逆なのです。
人間関係、とくに信頼関係を基盤に、お金は回っています。
そもそもほんとうの意味で成功している人、お金にも人にも恵まれている人は、最初から成功やお金を目的にしていません。やりたいことを思いっきりやっているうちに、それに関連する人たちが集まり、刺激や学びの機会、役割や仕事が生まれて成長でき、結果としてお金も集まり、人生はゆたかになっていくのです。
そんな信頼関係はお金を生むだけでなく、人生を支えてくれます。困ったことがあっても相談できたり、助け合えたりして、「なんとかなる!」と思えるはずです。
逆に「あの人はお金持ちだから」「取引先の偉い人だから」とお金でつながった関係の末路はもろいもの。つねに猜疑心があって心が疲弊し、不安がついて回ります。
お金は人生にとって大切なものですが、お金を基準に仕事や人間関係、生き方を選んでいると、自分のなかになにも残らず、逆にお金が離れていくのです。
やりたいことをやって自分を成長させ、まわりの人間関係を大切にしていれば、自然にお金はあとからついてきます。
私はやりたいことをやって動いているうちに、変わってくる人間関係もありました。その都度、人によって生かされ、生き延びてきたといっても過言ではありません。
正直な生き方と、人とつながる力が、お金を連れてきてくれると実感するのです。
小さな約束ほど守る
お金に縁のある人は「お金」よりも人との「信頼関係」を大切にします。
なぜなら、「信頼」こそが、仕事や生活を一緒に営む基盤。信頼できる関係があってこそ、つき合うことができるし、お金も健全に動くのです。
信頼される人とは、「この人なら大丈夫」と信じて頼れる人。信頼は一朝一夕につくれるものではなく、貯金のように“小さな行い”によってコツコツ貯まっていきます。
仕事であれば、顧客に別なお客を紹介してもらったり、困ったときは同僚に助けられたり、失業しても取引先からオファーされたり……と、お金以上の恩恵があるもの。つまり、“信頼貯金”が貯まるほど、生きやすくなるわけです。
“信頼貯金”をふやすためにまず心がけるべきは、「小さな約束ほど守る」という習慣。大きな約束は「できなくてもしょうがないか」と思われますが、小さな約束が守られないと、「簡単にできることなのに」と失望されます。
反対に、小さな約束をちゃんと守ってくれる人は、「自分を大事にしてくれる」と喜ばれるのです。「折り返し電話するね」と言ったら電話する。「資料送ります」と言ったら送る。「その仕事、やっときます」と言ったら、すぐにやる……というように。
家族や友人との約束も大切です。約束を守らず、ドタキャンしたり、頼まれたことを放置したりしていると、摩擦もふえて、最後は期待されなくなるでしょう。
言っていることと、やっていることがチグハグだと不信感が生まれます。裏表がある、嘘をつく、見栄を張る、ごまかすなどで“信頼貯金”は一気に目減りします。
「守れない約束はしない」のも約束を守るコツ。「今度、ゴハンでも」「行けたら行きます」といった社交辞令も、言葉が軽くて不信感を生むもと。礼儀をわきまえつつ、正直で、誠実でいることが、信頼のベースだと思うのです。