老後生活の質…いかに健康寿命と平均寿命の差を短くするか

多くが仕事を辞め、年金生活をスタートさせる65歳。原則、年金受給がスタートする年齢です。令和6年度の年金額はモデル夫婦(平均的な収入で40年間就業した夫と、40年間専業主婦の夫婦)で月23万0,483円、手取りにすると19.5万~20.7万円ほど。これが生活のベースになります。一方、高齢者世帯の平均貯蓄額は1,603.9万円、平均負債額は52.9万円。純貯蓄額は1,600万円ほどとなります。

平均的な年金額、平均的な貯蓄額で余裕のある生活が送れるかどうかは個々のライフスタイルによりますが、どんなにお金があったとしても、結構でなければ悠々自適な老後を送ることはできません。

厚生労働省『簡易生命表(令和4年)』によると、2022年の日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳。一方で健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である健康寿命は男性で72.68歳、女性が75.38歳。平均寿命と健康寿命との差は、健康でない期間であり、男性8.73年、女性12.06年です。また65歳で仕事を引退したとしたら、男性で7.68年、女性で10.38年しか、病院知らずの健康な生活を送れないということができます。いかに健康な期間を長くするか、いかに健康でない期間を短くするかに、老後生活の質がかかっているといえるでしょう。

そこで現役引退後に続けたいのが「スポーツ」。適度な運動は健康を維持するために必須であることは誰もが知るところです。現役時代は仕事に忙しくて、定期的に身体を動かすことも無透かしかったかもしれませんが、時間的に余裕のある引退後は、日常のなかにスポーツを取り入れたいもの。

総務省『令和3年社会生活基本調査』によると、65歳以上世代のスポーツの行動率(1年間のなかでスポーツを行った人の割合)は、60.2%。年齢別にみていくと、「60~64歳」では64.0%、「65~69歳」で67.0%、「70~74歳」で66.1%、「75~79歳」で64.3%、「80~84歳」で55.9%、「85歳以上」で37.4%と推移していきます。