竹中工務店は『SPOT』を建設現場の実測図作成業務に活用
また、『SPOT』で建設現場内を巡回して撮影した映像を作業の進捗報告に使用する例もあります。竹中工務店は、建設現場内の写真を実測図の作成用データとして用い、実測図(点群データ)と設計図(BIMデータ)の照合に活用する実証実験を『SPOT』で行い、業務の効率化ができることを確認したと発表しました(BIMデータとはBuilding Information Modelingの略称で、PC上で作成した建物の3次元デジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報などのデータを追加したものです)。
犬型ロボット『SPOT』の実証実験では、建設現場巡回や施工状況の遠隔確認と記録、軽量資材の運搬での活用等で十分に効果が得られることが確認されており、映像撮影に要する時間も最大30%程度削減できるとしています。
同社は「SPOTのさらなる活用方法の実現をめざした研究開発ならびに墨出しロボット、搬送ロボットなどRXを活用した生産性向上施策の普及展開を図っていきます」とコメントしています。
ソニーグループのR&Dセンターが6脚車輪ロボットを開発
四足歩行ロボットは前述の通り段差や階段に対応できるのが利点ですが、ソニーグループの研究開発組織である R&Dセンターは21年12月、建築テック向けに6脚の車輪ロボットを開発したことを発表しています。
車輪は移動方向の自由度が高いオムニホイールを装備し、平地では車輪で移動できます。段差があるところは、駆動軸16軸の6脚を使い、最大30cmを乗り超えて進めます。こうして、整地・不整地が混在する環境においても、安定かつ高効率に移動できる仕組みです。
ソニーグループは清水建設と連携して、建設現場における巡回・監視などの施工管理業務の効率化を目的に、このロボットの実用化に向けて共同実証実験を約7ヵ月間実施しました。
建設現場や災害現場のような足場の悪いところでは、段差に強い移動機構を持つ犬型ロボットや六脚ロボットが大いに役立ちます。しかし、建物の多くは人間用に作られているため、本来もっとも適したロボットの形態は人型のヒューマノイドということになるでしょう。安定したヒューマノイドの開発は非常に困難ですが、今後はそうしたロボットが多数登場することも期待されています。
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<著者>
神崎洋治
TRISEC International代表取締役
ロボット、AI、IoT、自動運転、モバイル通信、ドローン、ビッグデータ等に詳しいITジャーナリスト。WEBニュース「ロボスタ」編集部責任者。イベント講師(講演)、WEBニュースやコラム、雑誌、書籍、テレビ、オンライン講座、テレビのコメンテイターなどで活動中。1996年から3年間、アスキー特派員として米国シリコンバレーに住み、インターネット黎明期の米ベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材した頃からライター業に浸る。「ロボカップ2018 名古屋世界大会」公式ページのライターや、経産省主催の「World Robot Summit」(WRS)プレ大会決勝の審査員等もつとめる。著書多数。