お金とは、「安心」を買うことができる便利な道具であるゆえ、なくなることで私たちを不安にさせる存在です。だからこそ、「人と比較せず、“自分のものさし”でお金を遣うことが大切」と作家の有川真由美さんは言います。有川氏の著書『お金の不安がなくなる小さな習慣』より、お金との心地よい向き合い方をみていきましょう。
「見栄」のためにお金を遣わず、自分にとっての「心地よさ」で選ぶ
「他人からよく思われたい」と人の目が気になったり、「他人より優位でありたい」と人と比較したりするのは、人間の性ですが、お金の遣い方において、まわりばかりを気にする“見栄っ張り”な人は浪費しやすく、貯金もたまらないでしょう。
収入が少ないのに身の丈に合わない高価なブランドの服や時計、バッグを身につけたり、いい車に乗ろうとしたり、つき合いで豪華な食事会に行ったりしてしまうのは、もしかしたら自分に自信がないか、自分を見失っているからかもしれません。
また、世帯年収が600万円から1,000万円の家庭は、意外に貯金が少ないといいます。「自分たちは上流階級」という意識があって、タワーマンションに住んだり、子どもを私立の学校に通わせたり、経済レベルが高い人とつき合ったり......と、日常の消費すべてがワンランク上になりがちなのです。
“人との比較”に振り回されず、成長するために利用
お金の不安がない人は、人と張り合うためにお金を遣うことがありません。
まわりがどうかではなく、あくまでも“自分の気持ち”や“心地よさ”が軸で、「私は、それは要らない」「私はこの程度がちょうどいい」と選びます。人からどう思われるかよりも、自分がいかに満足するかを優先するので、まわりに流されたり右往左往したりすることなく、心穏やかでいられるのです。
何十億を稼ぐ一流の投資家やスポーツ選手が、意外に質素な暮らしをしているのは、 見栄を張る必要がないこともありますが、余計なことに惑わされず、自分にとって心地いい環境で、自分のやりたいことに専念したいからでしょう。
自分にとっての「心地よさ」を追求することが、誇り高い生き方にもつながるのです。
有川 真由美
作家