アイリスオーヤマが自社開発の清掃ロボットを投入
飲食業と同様に清掃業においても人材不足が課題となっており、解決策として業務用の清掃ロボットの導入が急速に進んでいます。
20年からソフトバンクロボティクスと連携して、業務用の乾式清掃ロボット(除塵清掃ロボット:業務用ロボット掃除機)の販売に本格参入したアイリスオーヤマは、23年11月に「水拭き清掃」と「乾いた床の除塵清掃」に両対応したDX清掃ロボットを自社開発し、24年半ばに発売すると発表。3年間で最低1万台(国内市場)の販売を見込んでいます。
乾式清掃ロボットについては、23年10月時点ですでに累計5,000台を販売しています。
報道関係者向け発表会で、アイリスオーヤマの代表取締役社長 大山晃弘氏は「日本では人手不足が顕著となり、日本の総人口に対して労働人口は約5,000万人といわれています。我々は、そのなかでロボット化が可能な業種は約1,800万人くらいだと考えています。もちろん1,800万人の業務がすべてロボットで代替できるとは限りませんが、おそらくは約700万人程度の労働人口の業務をロボットで代替でき、その市場規模は国内だけで25.5兆円に達するでしょう。海外向けは432兆円を見込んでいます」と語りました。
清掃ロボットについては、さまざまなメーカーやSIerが参入していますが、配膳ロボットと同様、ロボットができること、できないことを考え、ロボットができないことを人が補う、人が担うといったように、協働と役割分担を考えて柔軟に働き方を変えていくことが重要です。
たとえばある清掃会社からは、「清掃ロボットは床清掃しかできない。テーブルや手すり、階段、ガラス清掃などを含めてフロアごとに清掃担当チームを割り当てている当社では床清掃ロボットを導入できない」という意見も聞かれますが、考え方を変えれば、各フロアの床の清掃はロボットに任せ、そのほかの部分をスタッフが担当するというような役割分担ができるはずです。
従来のやり方に固執せず、ロボットと協働できる環境を柔軟に設計することで、少しずつ自動化/効率化に向けた変革を進めていけるのではないでしょうか。
-----------------------------------------------------
<著者>
神崎洋治
TRISEC International代表取締役
ロボット、AI、IoT、自動運転、モバイル通信、ドローン、ビッグデータ等に詳しいITジャーナリスト。WEBニュース「ロボスタ」編集部責任者。イベント講師(講演)、WEBニュースやコラム、雑誌、書籍、テレビ、オンライン講座、テレビのコメンテイターなどで活動中。
1996年から3年間、アスキー特派員として米国シリコンバレーに住み、インターネット黎明期の米ベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材した頃からライター業に浸る。
「ロボカップ2018 名古屋世界大会」公式ページのライターや、経産省主催の「World Robot Summit」(WRS)プレ大会決勝の審査員等もつとめる。著書多数。