アルバイトは「お金がもらえる楽しいジム」

マクドナルドでは、たくさんあるメニューを覚えて複雑なオーダーを受けるのはとても無理と思ったので、2階のフロアを希望し、トレイを運んだり、清掃をしたりといった仕事をしています。

シフトは、はじめは6時間×週5日でしたが、若い子から「なんでそんなにいっぱい入るんですか〜?」と聞かれ、ふと周りを見ると、みんなはもっと短時間で好きなときに入っているようです。フルタイムで百貨店で働いていたときの感覚で長時間入っていましたが、だんだん疲れてしまい、YouTubeが収益化できてからは週2日、土日のランチタイムの2時間だけにしています。

ただ、週末だけにすると、平日はずっと家にいることになるので、金曜日になるとなんだか体がドテッとした感じが……。ですから、理想は週の真ん中の水曜日にも出ること。そうすると1週間のリズムがちょうどよく、ダイエットにもなり、若い同僚たちと話すのも楽しくて気分転換になり、一石三鳥。「お金をもらえるジム」だと思ってがんばっています。

マクドナルドでの仕事は、広い店内を歩き回るのでけっこう疲れますが、百貨店のようにノルマがあるわけではないので精神的にはずっと楽です。

最初は、困ったお客様が来たらどうしよう? ということが心配でしたが、実際にはとてもよいお客様ばかりでした。びっくりしたのは、ほとんどの方が、私がトレイを下げに行くと「ごちそうさまでした〜」とか「ありがとうございます」といってくれること。私自身はファストフード店で「ごちそうさま」なんていったことがなかったので感激しました。

ちょっと困った子たちもいます。そういうときは、「ここは飲食店だからね。公園や学校とは違うから静かにしようね」と注意したりもします。

この店舗には私の母校の後輩たちもよく来るのですが、彼女たちがグループで来て、足をおっ広げてだらしなく食べていたときは、さすがに見過ごせなくてこういいました。

「あのね、マックのおばちゃんとしてじゃなくて、あなたの高校の先輩として注意してるからね。ここはあなたのお家じゃないのよ。もっとかっこよく座って食べようよ」

最初はきょとんとした顔をしていましたが、「マックの人」ではなく「高校の先輩」といったことがよかったのか、「はい!」といって座り直してくれました。

出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋 撮影:林 ひろし
[画像2]スタイリッシュな空間で働くことがアンチエイジングに?
出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋
撮影:林 ひろし

マクドナルドでは、同僚も大学生など若い人が多いので、彼らの若いエネルギーの中にいると、自分も若くなった気になれます(錯覚ですが)。

これまでは、休憩室で「その服かわいいやん、どこで買ったん?」といった雑談をするくらいでしたが、今回出版のために店で撮影をさせてもらい、みんなにYouTubeのことがバレたことで、「応援してます! チャンネル登録しましたよ!」「インスタフォローしました! 私のもフォローしてください」などと声をかけてもらえるようになりました。新しくちょっと深い交流が始まったのがとても嬉しいです。

出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋 撮影:林 ひろし
[画像3]いろいろな世代のお客様や同僚とお話することで勉強になっている 出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋
撮影:林 ひろし

この店舗で1番高年齢の方は、70代の男性で、朝の早い時間に働いているようです。外国の方もたくさん働いていて、この間も、長いカタカナの名前の若い男の子と同じ時間帯を2人で担当し、「どこの国の人?」なんて話をしました。

たくさんの刺激をもらえて好きなタイミングで好きな時間働けますし、何よりクルー全員で一丸となってスピーディーに臨んでいくワンチーム感が、とても気に入っています。

ロコリ

YouTuber