ひと工夫してインテリアを楽しむ

21歳のころ、初めてパリに行きました。廊下の手すりにかかっているバッグは、そのときにシャンゼリゼ通りのルイ・ヴィトン本店に朝早くから並んで買ったバッグです。今から50年前ですから、まだ日本で人気が出始めたばかりで、私の周りではクリエイティブな職業に関わるごく一部の人が持っているくらいでした。今でこそ「ブランド名がわかるバッグはイヤ」なんていっている私も、当時はもう、“気取り上がって”持っていたのを思い出します(笑)。

いつしか使わなくなり、押し入れに仕舞い込んでいたこのバッグを久しぶりに取り出してみたら、なかがカビだらけ。そこで、まるっと水洗いしたらカビは抜けてきれいになりました。

出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋 撮影:林 ひろし
[画像1]思い出のバッグをディスプレイに 出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋
撮影:林 ひろし

このバッグ、軽いのですが今の私には大きくて使い勝手が悪いので、もうバッグとして使うことはなさそうです。キャリーバッグを使えばもうボストンバッグには戻れませんよね。でも思い出のバッグだからとっておきたいし、仕舞い込んでおくのももったいないな……と考えたとき、ふとひらめいたのがディスプレイとして使うことでした。

ハンドルとファスナーはハサミで切ってしまい、がばっと開くように。中には百均の植物を入れて、フックで廊下の手すりにかけてみました。経年変化で渋い色になったヴィトンが、家の雰囲気になじんでいるように思います。

出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋 撮影:林 ひろし
[画像2]ヴィトンのボストンバッグに植物を 出所:『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)より抜粋
撮影:林 ひろし

上にかけている絵は、姪が小学校5年生のときに描いた版画絵です。いつもは何の悩みもなさそうな楽しげなカラフルな色使いなのに、この2枚は初めての大人っぽい色使い。なんだか「アートしてるやん!」と気に入り、もらっちゃいました。姪からもらった後に、ダイソーの550円の額に入れてみると素敵なアート作品になりました。

お金をかけないこんなインテリアが私らしいと思います。