家族の死は大変つらく、悲しいものです。そして、遺された家族は悲しむ暇もなく「死後の手続き」に追われます。その際、専門家にお願いするか自ら手続きするか迷う人は少なくありません。そこで、『親を見送る喪のしごと』の著者で作家・エッセイストの横森理香氏が、親が亡くなってから必要な諸対応とその費用について、司法書士に話を聞きました。みていきましょう。
相続手続きにかかる費用「専門家へ依頼」と「自ら対応」はいくら違うのか【司法書士に聞いてみた】
約40万円かかるが…面倒な書類ごとはいさぎよく「専門家に依頼」が吉
相続の「事務」→税理士or司法書士、「トラブル」→弁護士へ
死後の事務手続きについて、知り合いの司法書士に話を聞いてみた。私が主宰する「一般社団法人日本大人女子協会」の登記、役員更新をお任せしている大人女子だ。
家族の死後、専門家の手が必要なとき、「相続に関する事務は税理士や司法書士、親族間で揉めたら弁護士なんです。書類の手続きや事務アドバイスは私たちができるんですが、それ以降は一切立ち入れないんです」だという。
司法書士に頼むと40万円、自力でやっても30万円
しかし、専門家への謝礼は高額と聞くから、まずそこを聞いてみた。
「司法書士さんにお願いした場合、40万円ぐらいかかると聞いたんですが……」
「あ、それは、遺産に不動産があって相続登記に30万円くらいかかるからです。これは法務局への登録免許税の支払いで、書士の報酬は10万円くらいだと思います。マンションの場合、土地の持分(敷地権)が少ないので課税価格は低いんですが、田舎でも広い土地に建った一軒家の場合、土地の課税価格が高いので、相続登記にお金がかかってしまうんですよ」
ということは、自力で苦労しても結局同じということか。書類事が苦手な人は、だったら専門家に任せたほうがいい。
「書士の報酬は、土地や財産の総額を母数として割り出すものですから、持ってれば持ってるほど、高くなる」
都会の極小住宅でも、土地がついていると相続にお金がかかるという。「そのため、生前に話し合いで相続者と共同名義にしたり、一緒に住んで名義変更したりする人はいます」
親と住んでもいないのに住民票だけ移す人もいるようだが、四苦八苦の相続税逃れだ。
すぐに手続きを!…死後2週間以内に提出する「7つ」の書類
死亡届は7日以内、年金・保険系は14日以内
「まず役所に出す死亡届ですが、これは7日以内です。病院や医師からもらった死亡診断書を持参し、役所に死亡届を出して、火葬許可証が交付されて、初めて葬儀ができるんです」
これは葬儀屋さんも代行してくれる。葬儀屋さんも病院で紹介してくれるし、司法書士や税理士も知り合いがいなければ、葬儀屋さんが紹介してくれるという。
「税理士も得意分野があって、葬儀屋さんが紹介してくれるのは相続専門の税理士だったりするので、頼りになりますよ。親族間で問題があった場合には、相続に強い弁護士が紹介されます」
死後14日以内に、市区町村の役所へ提出する書類
【7日以内】
①死亡届・死亡診断書(死体検案書)
②火葬許可申請書
【14日以内】
①年金受給権者死亡届(報告書*厚生年金は10日以内)
②健康保険等の資格喪失届
③介護保険の資格喪失届
④住民票の抹消届
⑤世帯主変更届(住民異動届)