私たちの⾷⽣活にとって、農業はとても重要だということは多くに人が認識しているところではないでしょうか。しかし農林⽔産省の発表によると、農業従事者の平均年齢は66〜68歳前後を推移しており、⾼齢化が顕著です(令和5年農林⽔産基本データより)。新規就農者も平成27年の約6万5,000⼈に対し、令和4年は約4万5,000⼈(農業構造動態調査による)と、減少傾向にあります。⾼齢により引退する農業従事者の増加と跡継ぎ不⾜は「耕作放棄地の増加」を招き、⽥んぼや畑などの耕作地も減少を続けています。それを受け、政府は「ソサエティ5.0」を掲げ、これらの課題をテクノロジーで乗り越える「スマート農業」(アグリテック)への変⾰を呼びかけ、この窮状を回復しようと考えています。詳しくみていきましょう。
農業従事者の高齢化・跡継ぎ不足の解決に期待…IoT・ドローン・遠隔ロボットを活用した「スマート農業」の最前線 (※写真はイメージです/PIXTA)

NTT東⽇本も農業⽤ドローンに参⼊

農業⽤ドローン市場の拡⼤に注視していた東⽇本電信電話株式会社(NTT東⽇本)は、オプティムの実績を踏まえ、WorldLink & Companyと3社でドローン分野における新会社、株式会社NTT e-Drone Technology(e-Drone)を2021年に設⽴しました(資本⾦4.9億円)。

 

誰でも簡単にドローンの活⽤ができるように、農業⽤ドローン『AC101』の機体は軽トラや軽バンに積込可能で、⼥性⼀⼈でも運搬可能なペイロード4kg〜8kgの中型機から提供していくこととし、徹底した軽量化と電⼒消費効率重視の制御技術による⻑時間フライトを実現しました。

 

e-Droneの最新型ドローン『AC101 connect』は散布幅5m、バッテリー1本で最⼤2.5ha散布できる性能にアップデートされています。GNSS(⾼度なGPS)やネットワークRTKと呼ばれる⾼精度な位置情報システムを搭載して、ルートをより正確に⾶⾏できるようになっています。

 

画像提供: NTT e-Drone Technology
画像提供:NTT e-Drone Technology

 

同社は「政府が推進する環境負荷の低減を図りながら、持続可能な農⼭漁村の創造やサプライチェーン全体を貫く基盤技術確⽴と連携(⼈材育成、未来技術投資)等をめざす『みどりの⾷料システム戦略』への貢献をめざす」としています。

⽥んぼに雑草抑制と遠隔監視ロボット活⽤

低速スマートモビリティや⼩児患者型ロボットを開発するテムザック社は、農業にロボットを活⽤することで、重労働を減らし、効率を⾼めるスマート稲作改⾰『WORKROID農業』を進めています。

 

⾒た⽬の可愛らしさでも話題になった『雷⿃1号』(プロトタイプ)は⽔⽥で雑草抑制と遠隔監視を行うロボットです。

 

画像提供:テムザック
画像提供:テムザック

 

『雷⿃1号』α版は⾃律航⾏型で、⽔を攪拌して泥を巻き上げることで光合成を妨ぎ、雑草の⽣育を抑える機能を備えています。

 

前進→右旋回→前進→左旋回等をランダムに⾏うようプログラミングが可能で、複数台を同時に稼働することで効率的に隅々まで撹拌できます。β版では、離れた場所からカメラ映像をみて遠隔操作し、⽔⽥の様⼦を確認できます。

 

テムザックは農業経験のない⼈でも取り組める省⼒化農業をめざし、農業ワークロイド(雷⿃シリーズ)、ドローン、⽔管理システムなどを最⼤限活⽤し、⽶粉⽤の⽔稲直播栽培等を実施していく考えです。

 

資料提供:テムザック
資料提供:テムザック