睡眠中の動きと「VR機器」の制限
VR睡眠は、睡眠改善の効果が期待できますが、一方で、VR機器の形状が睡眠に適していない場合があることを理解することは重要です。
まず、VRヘッドセットの大きさや重さは、長時間の使用による疲労感や不快感を引き起こす可能性があります。また、ヘッドセットが個々の顔の形やサイズに合わせて調整できない場合、装着時の快適さが損なわれることがあります。
さらに、VR機器は頭部に装着されるため、睡眠中の寝返りや頭部の動きが制限されることもあります。特に睡眠中に頭を動かすことが多い人にとって、快適な睡眠環境にならない可能性があるでしょう。
これらの問題を解決するためには、個人に合ったサイズや重さのVRヘッドセットの選択、顔に合わせて調整できる機能を備えたヘッドセットの選択が重要です。また、自分の寝相や動きに合わせたVR機器の使い方を工夫することが大切です。
VR睡眠の「実践体験」筆者の試みと感想
筆者もVRChat内で友人と一緒にVR睡眠を試してみました。VRヘッドセットを装着したまま眠るという体験です。このVR睡眠を二度試みましたが、いずれもHMDを装着した状態では寝返りを打つのが難しく、快適に寝付くことができませんでした。
筆者は普段、横向きやうつ伏せで寝るため、VRヘッドセットの装着感が気になり、長時間寝付けないことがストレスになることが原因でした。ただし仰向けでじっと眠ることができる人にとっては、この体験が楽しめるかもしれません。
VR睡眠の感覚は、友人や恋人との電話で話しながら寝落ちする経験に似ていると感じました。このように、VR睡眠は一般的な睡眠とは異なる体験を提供し、新しいリラクゼーションの方法として魅力的かもしれませんが、向いている人、向いていない人が分かれるかもしれません。
VR睡眠を実践している人からは「睡眠の質が向上した」という感想のほか、「コミュニケーションの手段としても有効」という声も聞こえてきます。
VR睡眠は非日常的な体験を提供するものの、慣れるまでは快適に眠ることが難しい場合もあります。それでも、一度試してみる価値はあるでしょう。ぜひとも、VR睡眠を活用した新しいコミュニケーションを体験してみてはいかがでしょうか。
------------------------------------------------------------------------
齊藤大将
株式会社シュタインズ代表取締役。
情報経営イノベーション専門職大学客員教授。
エストニアの国立大学タリン工科大学物理学修士修了。大学院では文学の数値解析の研究に従事。
現在はテクノロジー×教育の事業や研究開発を進める。個人制作で仮想空間に学校や美術館を創作。