いよいよスタートした「新NISA」。制度の開始とともに投資初心者は「やったほうがいいのかな」と思いつつも焦りだけが募り、動けていない印象です。そこで本記事は、新NISAを始めるときの投資枠の配分パターンと銘柄の選び方について、未来デザイン×資産運用アカデミーハナミラ主宰の松下りせ氏が解説します。
「新NISA始動」に焦る投資初心者向け…投資枠の配分パターンと銘柄の選び方【投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

新NISAを始める前に…

新NISAの話の前に……投資のファーストステップは「どういう人生を生きていきたいか」を考えることです。投資をはじめたばかりだと、投資には必ずひとつの正解があるんだ!と思いがちです。筆者も同じだったのですが、投資を学び、続けていくうちにそれが間違いであると気が付きました。

 

たとえばあなたにとって「理想の旅行」にかかる費用は、ほかの人の旅行と同じ費用になりますか? 行きたい国が韓国かブラジルかでも大きく異なりますし、泊まりたいホテルのグレードや滞在したい期間、飛行機の座席のランクなどでも差が出ますよね。

 

同じように、子どもの教育費、自身の結婚にかかる費用などは人によって違うのです。老後の暮らしもなにを求めるかで大きく変わるでしょう。もちろん一般的な平均などは、資産形成の目安にはなります。ただ自分の望む未来を叶えるお金として適切なのかどうかはまず、理想の人生を描いてみないとわからないのです。

 

投資はお金を増やすためにやるもの。増やす目的は、自分の人生をよりよくしていくためです。まずはどんな人生を生きていきたいか、自分に聞いてみることからはじめましょう。そしてそのためには一体いくら必要なのかを知っていきましょう。

 

新NISAは活用すべき制度ですが、新NISAがはじまる前から投資をしている人はたくさんいます。投資をすることで、得たいお金、それによって叶えたい人生のためにやっているのです。

 

筆者は新NISAははじめるべきという考えですが、同時に人生をより豊かに楽しく、自分らしく生きるものにするものだと捉えてやってみてください。投資について考えることが楽しくなってきます。いま活用できる手元のお金を準備して、投資をスタートしていきましょう。

新NISAの投資枠、なににどのくらい配分すればいい?

理想の人生を描くことはできたら、投資の大方針を立てていきましょう。投資の方針を立てるときに大切なのは「いつ、いくら欲しいのか」から逆算することです。

 

・1〜3年など、近い未来を豊かにするなら…数年で数倍を狙えるような個別株

・老後など15年以上の未来を豊かにするなら…インデックスファンドへのつみたて投資

・日々の生活を潤すような比較的小さな利益を継続して受け取りたいなら…高配当の個別株や分配金を貰えるETF

 

※インデックスファンド:インデックスとは指標、ファンドとは投資信託のことで、インデックスファンドとは株価指数などの指標に連動した運用を目指す投資信託を指します。指標という単語が難しく感じるかもしれませんが、日本で言うなら日経平均に連動するというイメージです。

 

※配当:企業が株主に利益を分配することをいい、株主が保有する株数に比例して分配されます。

 

※分配金・・・投資信託の収益から投資家に還元するお金のことです。

 

※ETF:日本語では「上場投資信託」といいます。ETFは投資信託の一種ですが、一般的な投資信託とは違って取引所に上場しているため、個別の株式と同じように、証券会社を通じて取引所で売買することができるという点が最大の特徴です。

 

上記のように、自身の目的に応じて決めていきます。そのなかで新NISAの制度も上手に活用していけるといいでしょう。

 

ここで、念のため新NISAについて簡単に説明します。新NISAは簡単に言うと、1,800万円もの投資金額に対し、出た利益に対する税金が非課税になりますよ!という制度です。通常100万円投資して110万円に増えて売却をしたら、通常利益の約20%の税金が引かれるのですが、新NISAの場合、増えた分の10万円に税金がかからず、丸々利益として受け取れるのです。

 

新NISAには1,800万円の内訳として、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。簡単にいうと、「つみたて投資枠」は、年間120万。「成長投資枠」として使えるのは1,200万円までで、年間では240万円までであり、成長投資枠をつみたて投資枠として活用することも可能です。

 

つみたて投資枠については必ず利用する必要があり、成長投資枠との配分を自分で決めていく必要があります。以下のようなパターンが、一例として挙げられるでしょう。

 

1.1,800万円すべてをつみたて投資枠

2.600万円をつみたて投資枠、1,200万円をつみたて投資枠では購入できないETF

3.600万円をつみたて投資枠、1,200万円を高配当株や高配当ETF

4.600万円をつみたて投資枠、1,200万円を数年で数倍が狙えるような個別株

 

自身の叶えたいことを加味して、お金を上手に運用していきましょう。