20年11月末に横浜・山下公園に登場した身長18mの「動く実物大ガンダム」は、その大きさと迫力、手足を滑らかに動かしながら前進し、手を空に突き上げる姿で大きな話題を巻き起こしました。23年には、乗って操縦できる身長4mの変形ロボット『アーカックス』や、身長3mのベースロボット『EXA』が登場。現在用途が専ら“エンタテイメント”に限られる巨大ロボットらも、将来的には倉庫や工事現場、災害現場での活躍が期待されているといい、アニメで憧れていた未来、巨大ロボットに実際に乗れる時代の到来を感じさせます。本稿では、そんな巨大ロボット開発の最前線についてレポートします。
ロボットアニメの世界が現実に…「動く実物大ガンダム」に続き、乗って操縦できるロボットも登場!巨大ロボット開発の最前線に迫る (※写真はイメージです/PIXTA)

機動警察パトレイバーの『イングラム』を搭乗型ロボットとして開発

2023年8月には、MOVeLOT社が開発した、身長3mの巨大搭乗型ロボットのベースとなる『EXA』が報道関係者向けに発表されました。発表時点では動作するのは上半身のみでしたが、コクピットに乗ってロボットの両手を動かしたり、ブラスター銃を的に向けて発射することができます(弾は安全な吸盤式ダーツです)。


外観はロボットの骨格(骨組み)のように見えますが、これは外装を好きなロボットに自由にデザインするためのフレーム構造です。そのため「ベースとなる」巨大ロボットなのです。

 

「EXA」に乗り込んだMOVeLOT代表取締役の廣井健人氏©ツバメインダストリ
「EXA」に乗り込んだMOVeLOT代表取締役の廣井健人氏©ツバメインダストリ

 

そしてこの『EXA』と人気アニメ『機動警察パトレイバー』とのコラボが発表されました。アニメに登場した『イングラム』の装甲を『EXA』に施したモデルが開発されます。アニメで観てその雄姿に憧れたあの『イングラム』を現実に操縦できる日が、すぐそこまできているのです。

 

[プロフィール]

神崎洋治
TRISECInternational代表取締役


ロボット、AI、IoT、自動運転、モバイル通信、ドローン、ビッグデータ等に詳しいITジャーナリスト。WEBニュース「ロボスタ」編集部責任者。イベント講師(講演)、WEBニュースやコラム、雑誌、書籍、テレビ、オンライン講座、テレビのコメンテイターなどで活動中。

1996年から3年間、アスキー特派員として米国シリコンバレーに住み、インターネット黎明期の米ベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材した頃からライター業に浸る。「ロボカップ2018名古屋世界大会」公式ページのライターや、経産省主催の「WorldRobotSummit」(WRS)プレ大会決勝の審査員等もつとめる。著書多数。