現代では主流となっている「ドラム式洗濯乾燥機」ですが、洗浄力や乾燥時のシワなどの問題から、購入せずにいる人も多いでしょう。しかし、確実に“ドラム式”の性能は進化を遂げているようです。今回は、ドラム式洗濯乾燥機のメリット・デメリットと、最新機の技術の進化について見ていきましょう。
キレイに洗えてフワっと乾燥は当たり前…「ドラム式洗濯乾燥機」の次なる進化とは? (※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

洗浄力なら縦型、乾燥力ならドラム式一択

All About編集部が500人に行ったアンケート調査(2022年7月)によると、現在自宅でドラム式洗濯乾燥機を使っている人は19%であるのに対し、縦型洗濯機(全自動洗濯機・縦型洗濯乾燥機)を使っている人は78%でした。

 

洗濯物を干す手間を省いてくれるドラム式洗濯乾燥機。その高い利便性の割には、利用者はまだまだ少数派であることがわかります。

参考: https://news.allabout.co.jp/articles/o/47155/#goog_rewarded

 

乾燥機能には、シワの少なさも求められる。日立グローバルライフソリューションズの新製品発表会にて、従来機種との比較
乾燥機能には、シワの少なさも求められる。日立グローバルライフソリューションズの新製品発表会にて、従来機種との比較

 

とはいえ、縦型ユーザーが必ずしもドラム式は不要と思っているわけではないようで、「(縦型のほうが)比較的安いため」「置き場所が狭くドアの開閉が難しいため」などの理由から断念している人も多いようです。

 

「次に買い換えるとしたらドラム式」と回答している人は40%と、現在のドラム式ユーザーの約2倍に上ります。「ドラム式が欲しいけれど、費用や設置スペースの観点で諦めている」人が多いと考えられます。

 

そもそもドラム式が世界中で普及した背景には、欧米など海外の水は硬水が多い点が挙げられます。洗剤は泡立てることで洗浄力が発揮されますが、マグネシウムやカルシウムが多い硬水では泡立ちにくいため、軟水に比べると洗浄力が劣ります。

 

そこでドラム式では少量の水に溶かした高濃度な洗剤を使い、ドラムを回転させることで洗濯物を上に持ち上げ、下に落とす「叩き洗い」をすることで、洗剤の力だけに頼らず、物理的な力を利用することで高い洗浄力を実現しているのです。

 

一方、日本のような軟水では洗剤が泡立ちやすいため、縦型洗濯機でも十分に洗浄力を発揮します。縦型は大量の水流のなかで洗濯物同士を擦り合わせて洗える上、繊維のなかを洗剤水が通り抜けるため、汚れもニオイもドラム式よりスッキリ落とせるとされています。

 

ではドラム式は何がいいのかというと、ズバリ乾燥機能です。

 

もし乾燥機能はあまり使わないというのなら、ドラム式を選ぶ理由はありません。あえていえば、洗濯機置き場の上にスペースがなく、縦型のようにフタが上に開けられない、もしくはドラム式のデザインが気に入っている、洗濯物の出し入れがラクなど、洗濯機能以外の部分に魅力を感じている場合でしょう。

 

洗濯のたびに乾燥まで済ませたいなら、乾燥能力が高いドラム式一択といえそうです。

 

ドラム式洗浄の弱点を技術でカバー

いまでは技術の進化により、ドラム式でも縦型に近い洗浄力を備えた機種が増えています。

 

たとえば、東芝ライフスタイルのドラム式洗濯乾燥機ZABOON「TW-127XP3」ほかは、「ウルトラファインバブル」を搭載。ナノサイズのウルトラファインバブル水が繊維の奥まで浸透し、洗浄効果を高めて汚れを落とします。

 

また日立グローバルライフソリューションズのビッグドラム「BD-STX130L」ほかは、少ない水で溶かした高濃度洗剤液を衣類にしっかり浸透させ、大流量の水を循環させながら洗う「ナイアガラ洗浄」で、少量の水でも大量の水で洗ったような洗浄力を実現しています。

 

東芝ライフスタイルは「ウルトラファインバブル水」で洗うことで、洗浄力を高めた
東芝ライフスタイルは「ウルトラファインバブル水」で洗うことで、洗浄力を高めた

ほかパナソニックは、酵素が活性化する温度まで洗剤液を温め、泡にして洗濯槽に噴射する「温水スゴ落ち泡洗浄」、シャープは、水道水を毎秒100万個以上の水滴にして、高圧シャワーノズルから衣類に噴射し、ガンコな汚れを弾き飛ばす「マイクロ高圧洗浄」を搭載。

 

これらの独自技術により、いまや「ドラム式だから洗浄力が劣る」と気にするほどの差はなくなってきています。