20年11月末に横浜・山下公園に登場した身長18mの「動く実物大ガンダム」は、その大きさと迫力、手足を滑らかに動かしながら前進し、手を空に突き上げる姿で大きな話題を巻き起こしました。23年には、乗って操縦できる身長4mの変形ロボット『アーカックス』や、身長3mのベースロボット『EXA』が登場。現在用途が専ら“エンタテイメント”に限られる巨大ロボットらも、将来的には倉庫や工事現場、災害現場での活躍が期待されているといい、アニメで憧れていた未来、巨大ロボットに実際に乗れる時代の到来を感じさせます。本稿では、そんな巨大ロボット開発の最前線についてレポートします。
ロボットアニメの世界が現実に…「動く実物大ガンダム」に続き、乗って操縦できるロボットも登場!巨大ロボット開発の最前線に迫る (※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

横浜に搭乗した「動く実物大ガンダム」…130万人が観覧

20年11月末、アニメ作品の中の設定と同じ身長18mの「動く実物大ガンダム」が横浜山下公園の「GUNDAMFACTORYYOKOHAMA」(GFY)に登場しました。854日間(2023年10月5日時点)の営業で、約130万人が来場したことが発表されました。また、コロナ禍が落ち着いたことで海外旅行者も急増、32万9,000人に達しています。


実際に目の前で動く巨大なガンダムを実際に目撃し、いままでアニメでしか観ることができなかった実物サイズのガンダムの雄姿に、感動を覚えた人も少なくないでしょう。

 

※写真はイメージです/PIXTA
※写真はイメージです/PIXTA

 

また、「動く実物大ガンダム」を題材にした小中学生を対象に体験型教育イベント「エデュケーショナルサポート」が複数回開催されるなど、教育面でも多くの功績を残しています。イベントには累計で76校、5,487名の児童、444名の教員(引率者)が参加し(2023年9月の時点)、巨大なガンダムが動く仕組みを学び、その迫力を体験しました。


ガンダムの指を遠隔で操作し、ジャンケン大会も行われました。「動く実物大ガンダム」は、ガンダム世代のアニメファンが抱く夢を形にしただけでなく、次の世代を担う子ども達に、「巨大ロボットも現実に作れる」という科学の可能性と夢の種も届けたのです。


その「GFY」は、あらかじめ発表されていた通り2024年3月末日をもって終了します。


運営や開発を行ったEvolvingGチームのテクニカルディレクターをつとめた石井啓範氏は、「横浜の『動く実物大ガンダム』は終了しますが、究極の目標は自立して操縦できる実物大ガンダムを作ること」と語っています。

巨大・変形ロボット『アーカックス』登場…身長4m、販売価格は4億円

その石井氏が開発に携わるもうひとつの巨大ロボット、身長4mの『アーカックス』(ツバメインダストリ製)が2023年8月に報道関係者向けに発表され、4億円という価格で発売されました


『アーカックス』はボディ前面のラダー(ハシゴ)を昇って操縦席に入り、操縦が可能です。遠隔操縦もでき、ビークルモードに変形すれば最高時速10km/hで走行できます。

 

身長4mの搭乗型変形ロボット「アーカックス」。ツバメインダストリが開発・発売しました©ツバメインダストリ
身長4mの搭乗型変形ロボット「アーカックス」。ツバメインダストリが開発・発売しました©ツバメインダストリ

 

上の標準モデルのほか、マクロスに登場した『バルキリー』等のデザインを担当した河森正治監督が手がける特別モデルも登場。新デザインは、10月26日から東京ビックサイトで開催された「JAPANMOBILITYSHOW2023」でお披露目となりました。

 

 ©ツバメインダストリ
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 ©ツバメインダストリ
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現時点での巨大ロボットは、乗って動かしたり、遠隔操作したりして楽しむエンタテインメントを目的としています。人の代わりに何か大きなモノを運ぶことはできませんし、公道を走ることもできません。


しかし、これらの巨大ロボットは、工場や倉庫、工事現場で働いたり、災害現場で救助活動したり……そんな将来を予感させてくれます。