※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
福井県永平寺町、国内初の「無人運転士」運行サービス開始
23年5月22日、ヤマハ発動機と産業技術総合研究所、三菱電機、ソリトンシステムズが共同で、決められたコースや敷地など、限定された条件下でのシステムによる自動運転を指す「レベル4」の無人運行サービスを国内で初めて開始しました。運賃は片道大人100円。
福井県永平寺町の山間部で、ほかの自動車や通行人が少ないという条件下ではあるものの、国内で自動運転バスの運行が始まった記念すべき日になりました。
「運転士や車掌がいない」と聞くと「トラブルが発生したらどうするのか」と不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
「レベル4」では無人運転の条件として、遠隔監視センターのスタッフが常に車両やその周辺、乗客等の状態を自動運転バスに逃走されたカメラやセンサーで監視することが義務づけられています。そのため、車両故障はもちろん、万一の事故や車内での乗客の転倒や病気など、異常が起こると遠隔監視センターのスタッフが無線で声がけを行なったり、すぐにかけつけたりできる仕組みになっています。
20年9月、東京でハンドルのない自動運転バスが運行開始
上でみた永平寺町の事例は「無人運行」ですが、乗務員が添乗した自動運転バスの運行は実はもう少し前に始まっています。
国内で初めて定時運行(時刻表通りに運行) を開始したのは東京都大田区。20年9月22日、大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」(HICity)の広大な駐車場内で、乗客を乗せて巡回する自動運転バスの運行を始めました。 非常時には乗務員がコントローラで操作し、対応にあたるとともに、遠隔監視も行われています。
21年12月には、それまで事故なく安全に運行してきたことが評価され、次の段階として「HICity」から公道に出て、羽田空港第3ターミナルを結ぶ往復ルートを時刻表に沿って運行することになりました。
実績を積み上げながら、東京のような都会でも着実に「レベル4」の自動運転バスの実用化が進められているのです。
今後、運転士のいない「レベル4」で運行するために、現在は国土交通省 関東運輸局や東京都公安委員会、警視庁東京空港警察署からそれぞれ許認可を得るための手続きを進めているところです。