医学的リハビリテーションの分野では、テクノロジーを活用したリハビリ機器の市場規模が、急速に拡大中です。本記事では、医学的リハビリを担う理学療法士をサポートするテクノロジーや重要性が高まる遠隔リハビリテーションなどの事例とともに、リハビリ×テクノロジーの最前線に迫ります。
ロボットスーツ、VRゲームが活躍!医学的リハビリテーションを支える最新テクノロジーの現在地 (※写真はイメージです/PIXTA)

「遊びながらリハビリ」できるVR(仮想現実)ゲームが誕生

リハビリに伴う患者の身体的負担および精神的負担は計り知れません。楽しく行うための工夫は、効果を得るうえで大変重要です。ゲームを楽しみながら、遊び感覚でリハビリができるVR(仮想現実。以下、VR)ゲームが話題を呼んでいます。

 

「modiVRカグラ」は、VRゲーム仕様のリハビリテーションサポート専用の医療機器です。頭部にヘッドマウントディスプレイを装着し、ゲームの進行に合わせて左右交互に腕を伸ばすことで、すべての動作の基本となる、姿勢バランスや重心移動のコツを体得します。椅子に座ったまま利用できるため、転倒リスクが低いのもメリットの1つです。

 

たとえば、モニターに現れるターゲットの位置に腕の位置を合わせて、手に持っているコントローラーでシューティングする「水平ゲーム」や、落下するボールの落下位置とタイミングを予測してシューティングする「落下ゲーム」など、複数のゲームがプログラミングされています。症状の進行度に合わせて難易度を選択します。

 

ゲームのなかのVR空間で、ターゲットの位置と速度を「認識」し「手を伸ばす」という二重課題のトレーニングができるのがポイントです。このような認知課題と運動課題を同時に処理する能力は、日常生活を送るうえで不可欠です。

 

本ゲームは経済産業省・厚生労働省主催のジャパンヘルスケアコンテストで2018年に、グランプリを受賞しました。

 

現在、全国の大学やリハビリテーション病院、介護付き有料老人ホーム、デイケア施設などで導入されています。

リハビリができない症状の患者をサポートする新技術に注目

運動障害に関わる疾病により、思いどおりに言葉を発することや、ものを書くことができない患者がいます。「Cyin®福祉用」は、発話や身体動作を伴わずに意思伝達を行うことのできるインターフェイスです。人が身体を動かそうとする際に皮膚表面に発生する、微弱な電位信号を読み取ることができます。

 

自らの意思で身体をまったく動かせず、筋活動(まばたきや呼気等)による機械の操作が難しい方でも「はい」「いいえ」等の意思伝達や任意の文章作成、ナースコールによる呼び出しなどを行うことができます。

まとめ

遠隔リハビリの課題

これまで紹介した最新テクノロジーを活用することで、身体が不自由な人のQOL(Quality of life=クオリティ オブ ライフ、生活の質)やリハビリ効果の向上が期待できます。一方で、課題もあります。

 

たとえば、遠隔リハビリにおける非言語コミュニケーションの不足です。

 

リハビリ従事者が患者の筋肉や関節に直接触れ、症状の回復や進行を確認したり、リハビリ運動を正しく誘導したりといったアプローチは、効果を上げるのに有用です。ですがこれらを補う方法はまだ確立されておりません。

 

また、遠隔リハビリの専用機器は、操作できる人や導入できる施設が少ない現状にあります。

 

さらに、患者側に基本的な操作能力が求められることもまた大きな問題です。パソコンやデジタル機器に馴染みがないため、操作が困難であったり、オンラインによるリハビリそのものに抵抗をもったりする場合もあります。

 

テクノロジーの力でリハビリの未来を切り拓く

日本は少子高齢化、平均寿命の高まりにより、リハビリを必要とする患者は今後増加する見込みです。

 

昨今、理学療法士の数は年々増加傾向にあります。ですが、理学療法士の活躍の場は病院以外に老人福祉施設、身体障害者福祉施設、児童福祉施設、地域包括支援センターなど多岐に渡り、需要が高まっていることから「人手不足」といわれています。

 

現在、これらの課題を解決するべく研究・開発が進められています。1歩先の未来では、日本のどこにいても誰もが最適なリハビリを受けられるようになるかもしれません。

 

未来のリハビリ現場で、たくさんの笑顔が生まれることを願ってやみません。

 

 出典:

日本理学療法士協会

奈良県総合リハビリテーションセンター

ロボットスーツHAL® 公式

modiVRカグラ

遠隔リハビリのメリットと実現に向けたテクノロジー

京セラ ウェアラブルシステム

CYIN 福祉用

 

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編集/福永 奈津美