「タクシー配車アプリ」は、少子高齢化や担い手不足が進む日本において、ラストワンマイルの移動を効率化させる手段として期待されており、手を挙げて空車のタクシーを探す手間を省いたり、キャッシュレス対応を促進させるなど、利用者に便利さとスムーズな移動体験を提供しています。近年ではAIを活用した配車サービスの登場により、タクシー配車アプリの利便性が高まり、今後さらに普及していくことが予想されます。本記事では、タクシー配車アプリの現状やAIによるタクシー配送がタクシー業界全体の未来に与える影響について紹介していきます。
「すぐに乗れる」を実現する「タクシー配車アプリ」──AIの活用で高まる利便性とタクシー業界に“与える影響” 写真提供:GO株式会社

タクシー配車アプリの利用方法は簡単

 

タクシー配車アプリの利用方法は非常にシンプルです。「GO」は北海道から九州まで、計44都道府県で利用可能となっています。「AI予約」機能は、一部のエリアではまだ利用できませんが、利用可能エリアは着々と拡大しています。

 

「GO」を利用するには、まず会員登録を行い、表示される地図上で乗車位置と降車位置を指定します。そして「タクシーを呼ぶ」ボタンを押せば、配車依頼は完了です。配車の段階で支払い方法を指定でき、「アプリ内決済」を選んでおけば降車時に支払いをする必要はありません。アプリ内決済では、各種クレジットカードとd払い(両方とも「GO Pay」に登録が必要)で支払い可能です。

 

左:乗車位置と降車位置を指定するアプリ画面。右:「タクシーを呼ぶ」ボタンのアプリ画面(写真提供:GO株式会社)
左:乗車位置と降車位置を指定するアプリ画面。右:「タクシーを呼ぶ」ボタンのアプリ画面(写真提供:GO株式会社)


「AI予約」の使い方も基本的な操作方法は同じです。アプリ下部の「AI予約」タブをタップし、乗車位置と降車位置、希望日時を設定すれば完了です。日時は最短15分後から7日後まで指定可能で、指定した日時の5~10分前に配車された車両がアプリ上で通知されます。

 

「DiDi」は対応エリアを拡大中で、現在、日本では東京や埼玉などの首都圏や愛知、大阪などを含む15都道府県で利用可能です。

 

配車依頼は、アプリに表示される地図上から簡単に行えます。目的地を入力し、支払い方法と出発日時を指定します。すぐに来てほしいか、そうでない場合には、30分後から2日間までの期間で日時指定をすることも可能です。最後に乗車地点を入力すれば、配車依頼は完了します。支払い方法はタクシー降車時に支払う方法と、アプリ内決済でクレジットカードやデビットカード、PayPayによって支払う方法があります。

タクシー業界が抱えている問題をテクノロジーで解決できるか?

 

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会が2022年6月に提出した国への要望書によると、コロナ禍の影響でタクシー業界の売上は約4割減少したと報告されています。緊急事態宣言による自粛で街から人々が減り、タクシー会社や乗務員の収入は大幅に減少、多くの乗務員が離職に追い込まれました。

 

アフターコロナ時代に突入した現在、タクシー業界の最大の課題は「乗務員不足」です。

 

乗務員不足が起こっている要因としては、歩合制という乗務員一人一人がどれだけ稼げたかに応じて給料が変動するというタクシー独自の給与体系に大きく起因しています。コロナ禍により人々の移動が減少し、タクシー業界の売上が下がった結果、給与に直接影響を受けた乗務員たちが離職してしまったという背景があります。現在、離職した乗務員が戻る兆しは見られず、全国的に乗務員数がコロナ前に比べて2割減となっており、供給不足が深刻な問題となっています。

 

一方でタクシー配車アプリの利用者は年々増加傾向にあります。キャッシュレス決済や待ち時間の短縮など、利便性を高めるタクシー配車アプリは、今後もタクシー業界のDX化を促進していくでしょう。

 

そして、AIの活用による配車は、乗客の利便性だけでなく乗務員側にもメリットをもたらします。効率的な配車システムにより、客待ち時間を減らすと同時に無駄な移動を減らすことができるため、より効率的に収入を得ることができます。

 

高齢化が進む中、ラストワンマイルを担う唯一の公共交通であるタクシーは、買い物や通院の移動手段のひとつとしても重要な存在です。タクシー配車アプリは地域社会のニーズに合致し、ますます普及していくでしょう。オーダーメイドの移動が可能な唯一の公共交通として、人々の移動がより快適になっていくことが期待されます。

 


文=長谷川寧々 (情報提供=GO株式会社)