今後の課題
このように、「うちれぴ」は「食材の買い物」→「メニュー選び」→「調理」という「ごはん作り」の一連の流れを効率化するとともに、家族のコミュニケーションの増進につなげることを目的としたアプリです。
しかし、ユーザー数が7万人に達している一方で、今後、さらに多くの人に利用してもらううえでは課題が残っています。
保坂氏「ユーザーは7万人に到達しましたが、今後、『家族で使うとこんなにいいことがありますよ』ということをもっと広めていく必要があります。
また、プラットフォームとしての機能を充実させることによって、ユーザーにとってますます使いやすいサービスにしていきたいと考えています。
まず、食材を把握する機能は現状、『スマートレシート』との連携に限られています。
今後、『スマートレシート』を普及させていくのはもちろんですが、『スマートレシート』以外のサービスとの連携も広げていく手段もありえます。たとえば、家計簿アプリやネットスーパーは直接連携することができるのではないかと考えています。
そうすることによって、『今あるもので作る』『作ろうとする料理のため足りない食材だけを買い足す』ということがスムーズに行えるようになります。また、フードロスの削減にもつなげたいとも考えています。
ビジネスモデルとして確立していくことも課題です。現状は、食品メーカーとの共同プロモーションにより売上を上げていますが、今後は『うちれぴ』の理念・サービス内容と親和性のある広告、たとえば食品メーカーの新商品の広告等を掲載することも考えています。また、現在は完全無料ですが、今後、機能がさらに充実していけば、一部機能を有料化できないかも検討したいと思います。
さらに、フードロス削減や、ごはん作りに家族みんなが協力することを通じてのジェンダーレス推進といった、社会課題の解決への貢献につなげていきたいとも考えています。」
「うちれぴ」のプロジェクトが成し遂げようとしている、「ごはん作りの効率化」に留まらず家族の「食」体験として捉えてこれまでにない新たな価値を創出するサービス実現の試みは始まったばかりです。今後、プラットフォームとしての機能が進化し、いっそう世に周知されていくことで、あらゆる人にとっての「食卓」のあり方自体を大きく変えていく可能性があるといえます。
*「スマートレシート®」は東芝テック株式会社の登録商標です。
取材・文/出岡 大作