「デジタル証券」という仕組みから誕生した新商品
私たち三井物産デジタル・アセットマネジメントは、おもに大型不動産という資産クラスを対象にした資産運用ビジネスとともに、投資対象である大型不動産を「デジタル証券化」して販売する会社です。
大型不動産を対象にした資産運用ビジネスというと、東京証券取引所に上場されている不動産投資法人、いわゆるJ-REITや、オフィスビルの区分所有権を販売する不動産会社が主だったところでしたが、私たちは「デジタル証券」という仕組みをつくることにより、従来の不動産を対象にした投資商品とは一線を画す商品性を実現しました。
2年間で20の事業開発にチャレンジした過去
私は大学時代、工学部でロケットエンジンや原子炉などに使用される先端材料を研究していました。材料の研究は、新しいモノを生み出すという点で非常に興味深い世界ですが、ひとつのことを徹底的に時間をかけて深掘りするという領域であり、核融合炉や宇宙船を実現する材料開発には遥かに長い時間が必要になってしまいます。もっと自由に、事業やサービスなどを創造していきたいという想いを強く持ったことから、幅広いビジネスを展開している三井物産に入社しました。
最初に配属された財務部門から2年目で新規事業開発の部門へと異動。入社4年目で不動産運用の世界に入り、日本で初となる物流REIT「日本ロジスティクスファンド投資法人」の立ち上げを主導しました。
新規事業開発の部門では、2年間で20もの事業開発やスタートアップ投資にチャレンジしましたが、ことごとく失敗し、お金を生み出す難しさを痛感しました。貿易の電子化に関する事業を三菱商事と共に立ち上げたとき、初年度の売上はたった2,100円。当時の取締役会で、「2,100の単位は?」という質問があり、意を決して「円です」と答えたときの周囲の空気感は、いまも鮮明に覚えています。
さまざまな事業を企画し、立ち上げ、それを潰し…ということを繰り返しているうち、2004年くらいから、当時黎明期にあった不動産ファンドが盛り上がりを見せ始めました。
物流REITの上場で気づかされた「不動産投資」の魅力
そのような機運のなか、私たちの新規事業開発部門でも、不動産投資に関連した事業を考えてみようということになり、2001年から東京証券取引所に創設されていたJ-REIT市場に、物流REITを上場する運びとなりました。
実は、不動産投資の「当たり前」とも言える魅力に気付いたのはこのときでした。前述のように、貿易の電子化に関連した事業では、たった2,100円しか売上が立たないという屈辱的な結果に終わりましたが、それは恐らくほかの事業でも同じだったと思います。ビジネスモデルを考え、スタッフを集め、営業し、実際に売上を得るまでには、相応の時間が必要です。
ところが、不動産事業は物件を買い付けるのに必要な資金を調達し、実際に物件を取得すれば、その時点から家賃収入が得られます。つまり売上が立つのです。これは非常に安定感のある仕事だと思いました。
それと同時に、資産を運用したい個人の方々に対し、よい投資商品を提供できたという思いもありました。そもそも大型のプロ向け不動産は、取引市場が確立されていて価格は安定しているものですし、家賃収入を安定的に確保し続けられれば、「元本を大きく毀損させずに年3-4%程度の分配金を得たい」という運用ニーズに合致した投資商品を提供できると思ったのです。
魅力的なJ-REITも「ボラティリティ」に懸念点
ただ、J-REITには大きな課題がありました。それは、J-REITが無期限で運用されるファンドであるため、換金性を担保するためには証券取引所に上場している必要があるのです。
もちろん、上場されているからこそ高い流動性を持ちうるわけですが、投資口価格が市場心理に大きく左右されてしまうという懸念点もあります。J-REITに組み入れられている不動産物件の価格が安定していて、かつ家賃収入もしっかり確保できているにも関わらず、市場心理が冷え込むと、市場で売買する際の投資口価格が下がってしまうのです。
J-REIT市場が創設された当初は、株よりも価格変動が小さく、配当収入が安定的に得られる金融商品として設計されましたが、市場参加者のボリューム、時価総額の大きさなど様々な要因により、あるときには株よりもボラティリティが大きくなることもありました。
J-REITに組み入れられている不動産物件の価値が上がっているのに、そのパッケージであるJ-REITの投資口価格は値下がりする。この現象を目の当たりにすると、個人投資家のみなさまからすると、「分かりにくい」という見方が先に立ってしまいます。魅力的な大型不動産を小口資金で購入できるJ-REITは、素晴らしい商品性を持っているのですが、この点から、個人の保有比率はなかなか高まっていません。
一方、機関投資家などのプロ投資家の間では、少数の投資家向けに組成される私募形式のREITが人気を集めています。これはJ-REITのように上場されていないので、価格が市場心理に大きく左右されることがありません。配当の安定性はJ-REITと同様に確保しつつ、基準価格は保有不動産の鑑定評価が反映されるため、J-REITに比べてボラティリティが低いという特徴を持っています。
私募REITとJ-REITの「いいとこ取り」へ
私たちが個人向けに提供している不動産のデジタル証券は、私募REITとJ-REITの「いいとこ取り」を目指しました。比較的少額資金から投資でき、かつその資産価値は、J-REITのように市場の需給に左右されることがないため、私募REITのように価格が安定しています。
また、これまで私たちは、複数の証券会社を通じて、不動産デジタル証券を販売してきましたが、これからはいよいよ「ALTERNA(オルタナ)」というサービスで直接、個人の皆さまに対して、不動産のデジタル証券を販売することが可能となりました。プロが好んで投資する私募REITと同様に価格のボラティリティを抑え、かつ年3%程度の利回りを確保したいという運用ニーズに適した商品になると考えています。
また、換金性については、J-REITのように毎日時価で換金できるものではありませんが、私募REITと同様、半年に一度のタイミングで売買の機会をご提供します。元本の値上がり/値下がりを狙いに行く商品ではなく、安定的な利回りを享受するための商品でありますので、積極的な売買ニーズはないと考えていますが、投資対象の入替えやご資金ニーズに、ある程度はお応えできる商品設計としています。ご期待下さい。
上野 貴司
三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
2000年三井物産入社。日本初の物流REIT「日本ロジスティクスファンド投資法人」を05年にIPOさせ、初代CFOに就任。12年よりシリコンバレー投資子会社にてスタートアップ投資に従事。16年に2社目の総合型REIT「投資法人みらい」をCFOとして立上げ、IPOに成功。20年より現職。京都大学大学院工学研究科工学修士、一橋大学大学院国際企業戦略研究科MBA in Finance。リーマンショック時の経験から構想していた個人向け金融サービス会社を具現化すべく当社を設立しました。「投資はもっと、わかりやすく、簡単にできる」の信念のもと、デジタル証券を活用した新しい資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」の立ち上げに邁進しています。
■三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社について
弊社は不動産・インフラなど実物資産を裏付けとしたデジタル証券ファンドの組成、運用、販売を一気通貫で展開する日本初のデジタルネイティブなアセットマネジメント会社です。デジタル証券で資産運用できるサービス「ALTERNA」の提供を通じて、将来のために安定した資産形成をしたい方に、新たな選択肢を提供していきます。
本社 :東京都中央区日本橋堀留町1丁目9−8 人形町PREX 4階
代表者:代表取締役社長 上野 貴司
設立:2020年4月1日
資本金:30億円(資本準備金を含む)
業登録:金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第3277号
宅地建物取引業:東京都知事(1)第105400号
加入協会:日本証券業協会/一般社団法人 第二種金融商品取引業協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会
コーポレートサイト:https://corp.mitsui-x.com/
ALTERNAサービスサイト:https://alterna-z.com/
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