マンション建設とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)建設、土地活用・資産活用のゴールドトラスト株式会社と、医療・介護サービスを提供するゴールドエイジ株式会社が連携して、不動産クラウドファンディング事業「GOLD CROWD(ゴールドクラウド)」をスタートさせました。サ高住をファンド化する狙いは何か、ホールディングス会社であるスマイシアHD株式会社の専務取締役の樋口広士氏にインタビューしました。

1,000人を超えると収益拡大、赤字体質から脱却

ゴールドトラスト株式会社は1976年(昭和51年)創業(現在のアサヒグローバルホーム株式会社が発祥)で、三重県四日市市で注文住宅の建設・施工、販売を展開してきました。さらにマンション事業を加え、住宅は年間約500棟、賃貸マンションの施工実績は約350棟、高齢者住宅で約60棟の施工実績、グループ全体で総売り上げ300億円規模の事業を展開しています。

 

いまから18年ほど前、年商が150億円規模に成長したとき、【注文住宅】のアサヒグローバル株式会社と【マンション】のゴールドトラスト株式会社に分社化しました。その当時、高齢者専用賃貸住宅、現在のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の事業が、国土交通省と厚生労働省が共同で2050年に200万戸を建設目標にスタートした時代背景があり、当社は三本目の柱として、サ高住の建設を開始したのが始まりです。

 

サ高住は、当初、介護サービスを他の介護事業者に任せていましたが、介護サービスも含め自社で行うため、ゴールドエイジ株式会社を設立し、初期に建設したサ高住6棟で介護事業をスタートしています。

 

当初は失敗に次ぐ失敗でした。建設会社が介護事業に参入したことに対する反感も少なくありませんでした。そもそも介護事業は医療系、福祉系の法人がほとんどで、他業界が参入して介護で儲けるということはタブー視されていたものです。

 

また、入居者がなかなか集まらず、5年間ほどはかなり苦労し、11億円もの赤字を出したこともあります。当時、住宅会社が右肩上がりの業績だったので何とか持ちこたえることができました。

 

その後もコツコツと実績を積み上げながら、サ高住がようやく1,000戸を超えたあたりから、ビジネス環境が大きく変わってきました。介護の付帯ビジネスで利益が出始めたのです。

 

この規模になると、数のレバレッジが効き始め、介護保険適用外のサービスの売り上げが急速に伸びていきました。1,000人の入居者に必要な生活日用品等を販売、毎日3回の食事の提供(1,000人なら年間1,095,000食)、家具・家電・福祉用具等のレンタル、コンシェルジュ的な個別有料サービスなどが大きな売り上げになりました。介護報酬だけではなかなか利益は出ませんが、介護保険適用外のサービスの売り上げで利益が確保できるようになっていきました。

 

2022年12月期決算で、グループ3社の売り上げがおよそ300億円。社員数は1,500人を超え、今期末で1,600人になる見通しです。ゴールドエイジは、北は仙台から栃木、神奈川、山梨、静岡、愛知、三重、岐阜で計46棟、戸数では2,084戸を運営しています。

クラウドファンディング事業に参入する理由

当社が不動産クラウドファンディングを始める理由の1つは、「資金調達手段の拡充」です。スルガ銀行の不正融資問題以降、金融機関の融資が厳しくなってきており、アパート、マンションを新たに建設しようとしても融資スタンスが厳しく、投資家が賃貸物件に投資するスキームに逆風が吹いています。当社でも、投資家に土地を購入してもらい、収益物件を建てる事業を展開していますが、昨今の金融の引き締めでビジネス環境は非常に厳しくなっています。

 

もう1つは、「日本の介護を変えたい」という思いです。

 

18年近く介護事業に携わってきた経験から、現在の日本の介護環境にはいろいろ問題があると考えています。

 

当社は高齢者住宅に介護サービスを追加する形での運営です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの福祉施設ではありません。

 

 

一般的な介護施設に要介護度5の方が入居すると、約36万円の介護報酬が包括請求で受け取れます。一方、当社は、ケアマネージャーが介護プランを立て、必要なサービスを必要な分だけ請求します。そのサービスも30分の動作の積算で、1人当たりの売り上げが月平均15万円程度です。介護施設の3分の1程度にしかなりません。

 

当社グループ社員1,500人のうち約1,000人が介護職員です。2,000戸を運営していると、365日、24時間体制で8時間勤務、休みを入れると4シフト必要です。これでは介護報酬だけでサ高住を運営することは難しいのが現状です。

 

また、介護経験が豊富でスキルの高いベテランスタッフも、今日介護の資格を取ったばかりのスタッフでも、介護報酬は変わりません。本人がいくらスキルを高めても介護報酬は上がらない仕組みで、経営側はベテランより若いスタッフを雇用することになりがちです。また、教育しても要した費用を加算請求できるわけでもありません。

 

これが介護報酬だけでは儲からないと言われている原因の一つであり、介護ビジネスが利益を出しにくい特徴です。そのせいで安い土地に施設を建て、投資コストを下げる必要があり、利便性が悪い場所に建設することでバスや電車が通っていないため、スタッフの採用が困難となります。

 

入居者の方は、近所にスーパーや郵便局があるなど利便性の高いところに住みたいと考えるのが当然でしょう。

 

不動産クラウドファンディングを活用して資金調達をし、利便性の良い場所に質の高い介護サービスを適切に提供することが日本の介護を変えることにつながると考えています。

介護職員で年収1,000万円を目指す理由

オンリーワン、ナンバーワンが当社の社風です。

 

これまでホテルの建設・運営、高品質マンションの分譲等手がけてきました。介護ビジネスにおいても、業界の常識の破壊を目指しています。そのためには、サ高住を100棟、5,000戸体制の規模が必要だと考えています。今年には50棟を超える予定で、年間3~4棟を新規出店していく予定です。

 

戸数を増やせば利益が上がっていくので、そこで出た利益で介護サービスの充実を図ります。当社は18年の介護経験で培ったスキルを有し、認知症の対応から看取りまで行っています。看護師や理学療法士、言語聴覚士などを採用し、最後の看取りまで行える体制を整えています。

 

さらに各エリア内で認知症対応、ナースが24時間常駐するタイプなど、サービスが異なる施設を設けることで、入居者の多様なニーズに対応できる態勢をグループ内で構築していく方針です。1エリア内に車で20分程度の場所に5棟をめどに設置できれば、入居者の介護状態に適した施設に簡単に移ることも可能になります。

 

また、当社は社員教育を重視していて、新規出店は運営を任せる館長のスキルが一定基準に達していることが前提になります。年間3~4棟と想定している出店ペースは、良い人材を採用して、その人材がいかに育ってくるかにかかっているからです。


そのためにも介護職員でも年収1,000万円を早期に実現したいと考えています。現在、介護職員の年収の最高額は700万円以上ですから手ごたえを感じています。

 

当社グループはあえて株式上場しないと決めています。上場すると株主のためという視点になり、利益を出すことが最優先になってしまいます。そうではなく、利益を出したら入居者と社員のために活用する方針で事業展開していきます。

 

クラウドファンディングについても、やみくもに資金を集めるのではなく、成長戦略に合わせてファンドを組んでいきます。成長戦略の中で不動産クラウドファンディングの資金調達を活用してくことが基本的な考え方なのです。

 

また「GOLD CROWD(ゴールドクラウド)」介護事業応援ファンド1号の情報を、以下の通り公開しておりますので、どうぞご確認ください。

 

GOLD CROWD(ゴールドクラウド)

商品名:介護事業応援ファンド1号「ゴールドエイジ四日市日永」
物件名:ゴールドエイジ エフ
予定利回り:8.26%
運用期間:12ヵ月(366日)
募集金額:6,000万円(優先出資金額)
▶1万円より ▶抽選方式
物件詳細はコチラ>>>
https://aggcrowd.jp/