医療の分野で活用されているAIを「医療AI」と言い、取り入れることで医療の質の向上が期待されています。その導入は多岐にわたり、すでに幅広く利用されています。医療AIが実際に活用されている導入事例、またメリットなどから、医療AIの今後の未来について考えます。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
すでに多岐に渡る医療AIの導入。人間の仕事をどこまで担うようになる? (※写真はイメージです/PIXTA)

業務の効率化・質の向上が期待。懸念点は──

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)
 

医療AIの導入が進んだことで、以下でご紹介するように、良い点も悪い点も様々な面が指摘されるようになりました。

 

1)効率化

人手不足が続く医療現場では、AIを導入することにより医療スタッフの負担が軽減されることが期待されています。人間は疲れてくるとどうしても作業効率が落ちてしまいますが、AIはそのようなリスクとは無縁です。

治療の現場だけでなく、医療事務においても作業の軽減に役立つので、医療機関全体の業務効率化が期待できるでしょう。

 

2)医療の質の向上

AIを導入することで、時間をかけずに精度の高い診断が期待できます。医師とAIでダブルチェックを行うことで、重大な症状を見逃す危険を減らすことができるでしょう。診断結果や過去のデータを詳細に分析することも容易となり、最適な治療法を見つけることに役立ちます。

すでに多くの医療機関では医療AIの導入は進んでおり、医療の精度の向上、効率化、コストの削減に貢献しているといえるでしょう。

医療の質の向上や効率化に大きなメリットをもたらす医療AIですが、欠点がないわけではありません。

 

1)責任の所在が不明確になる

もし医療ミスが起きてしまった場合、責任の所在が不明確になってしまうリスクがあります。AIは膨大なデータから診断を導き出しますが、その基準が明確にできないという場合も起こるかもしれません。

 

2)データの管理

多くのデータを扱う以上、その管理方法が問題となります。例えば、紙のカルテと比べて電子データは盗まれても気がつきにくいでしょう。データをどのように守るのか、これまで以上に管理をしっかりする必要があります。

 

3)バグや不具合

AIも機械である以上、バグや誤作動が起こる可能性はゼロではありません。AIによって複雑化したことで、単純な機器よりも不具合を発見しづらくなる可能性もあります。