医療の分野で活用されているAIを「医療AI」と言い、取り入れることで医療の質の向上が期待されています。その導入は多岐にわたり、すでに幅広く利用されています。医療AIが実際に活用されている導入事例、またメリットなどから、医療AIの今後の未来について考えます。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
すでに多岐に渡る医療AIの導入。人間の仕事をどこまで担うようになる? (※写真はイメージです/PIXTA)

医療AIの正確性やリスクは?

医療の現場でも大きな期待が寄せられるAIですが、不安視する声が少なからず存在します。最も不安視されるのが「正確性の課題」と「誤診が起きたときのリスク」です。

AIはより多くのデータを学習することでより正確性を増し、正しい判断ができるようになります。そのため大量のデータが必要となり、逆にデータが少ない症例に対しては正確性に課題が残ります。

またAIといえどもちろん完璧ではないので、ミスは起こります。AIによって誤診が起きたらどうするのか、もし起きた場合はその責任の所在はどうなるのかといった不安はぬぐえません。その他、医療スタッフがAIに依存しすぎてしまうあまり、成長を妨げてしまうというリスクも考えられます。

そのため、医療現場ではAIに頼り切るのではなく、医療スタッフとAIが適切に連携し、補完し合いながら医療業務に対応していく工夫が重要となるでしょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

AIに看護師や薬剤師の仕事が取られる日は来るのか?

医療現場におけるAIの導入は進んでおり、すでにAIは必要不可欠になっているといえます。今後も医療現場における人手不足は進むでしょうし、医療の効率化と正確性の向上のため、医療AIを導入する流れはますます加速していくことでしょう。

そうなると心配されるのが「AIに看護師や薬剤師の仕事が奪われてしまうのではないか」ということです。確かに、人間が行なっている業務のいくつかは、いずれAIが担うことが可能になるだろうと予想されています。

ただ、それでも看護師や薬剤師の仕事が“完全に”AIにとって代わられてしまうことはないでしょう。もちろん「絶対」ということはありえませんが、そう考えられる理由があります。

まずAIは「コミュニケーション」ができないからです。学習を重ねることにより、AIもある程度の対話能力を身につけることができますが、人間の気持ちを本当に理解したうえでのコミュニケーションをとることは、現状ではできません。

患者の気持ちに寄り添い、きめ細かい配慮をし、適切なコミュニケーションを行うことによりできる医療、それは生身の人間だからこそできることだと考えられます。

次に、目覚ましい進化をとげるAIも、まだまだ完璧ではないからです。機械であるがゆえの不具合やデータ不足からなる不具合も考えられますし、仮に重大なトラブルに発展した場合の責任の所在といった課題もあります。

医療現場におけるAIは、今の段階では医療スタッフにとってかわるというものではないですが、AIが医療スタッフをフォローし、人間とAIがお互いに連携することでより素晴らしい医療の発展を目指していく、そのような未来が予想されています。

 

 

飯塚祐世

株式会社スタルジー代表取締役。新卒でベンチャーの WEB 制作会社にエンジニアとして就職。3年後に介護・医療系のメガベンチャーである株式会社エス・エム・エス(東証プライム上場)に転職し、エンジニア兼マーケターとして従事。その後起業をし、WEB システム開発や WEB マーケティングを主な事業としている。