(※写真はイメージです/PIXTA)

相続問題について困ったときに頼れる存在なのが専門家だ。とはいえ専門家であれば誰でもOKというわけではなく、かといって「相続税専門」を謳っていてもベストな節税対策を提案できるとは限らない。では、専門家はどのようにして選べばいいのか。年間1,700件以上の相続事例を請け負う「ベンチャーサポート相続税理士法人」の古尾谷裕昭税理士ならびに三ツ本純税理士が、実体験をふまえてアドバイスする。(取材・文=小倉千明)

相続対策を「自分で行う」ことは可能?

 

専門家の必要性はわかっているとしても、弁護士事務所の初回相談は30分5,000円などと謳われていることもあり、士業に相談するという選択肢にはまだまだ敷居が高いイメージがある。まずは個人で着手可能なことから、相続対策を始めることはできないのだろうか?

 

「専門家の手を借りなくても、生前対策に関しては個人でできる対策はもちろんあります。【以前の記事】でも紹介しましたが、暦年贈与による生前贈与や生命保険の非課税枠の活用などは、自分でも計画することが可能です。生前贈与をする際には、後になって税務署に否認されることのないように贈与契約書を作成します。このとき、確認という意味で専門家の知見を借りるのも一つの手でしょう。自分で作成した書類にお墨付きをもらえるだけでも、対策への確証や安心感を持てると思います」

 

税理士に関しては、初回無料相談の窓口を設けているところも増えている。ただ、意を決して相談に行ったにも関わらず、専門用語が飛び交って理解できずに、逆に足が遠のくことになってしまった…という結果はどうしても避けたい。

 

わかりやすく説明してくれる専門家を選ぶとよいでしょう。また相続税に関する相談は、お金や家族間のプライベートな話題にも触れることになります。たとえば、資産額はいくらなのか、不動産の所有はあるか、相続人となる人の状況などです。そのため、本音を話しにくいという方も多いです。しかし税理士の立場としては状況を正しく伝えていただかないと、最も適した提案ができません。私たち自身も心がけていることですが、コミュニケーションが取りやすく、話しやすい相手であるか。まずは信頼できる関係性を築ける担当者かは重要です。結局は人間関係。“この人になら相談したい”と思えるような専門家を選んでください」

「避けたほうがいい専門家」の特徴

 

専門家の必要性はわかっていたとしても、日常的に税理士や弁護士などの士業に携わる人と接点が少ない場合も多いだろう。相続税について相談したい場合、避けたほうがいい専門家の特徴などはあるのだろうか。

 

「税理士ならば誰でも相続税について詳しい、というわけではありません。相続税の専門家ということがまず重要です。実のところ、相続税専門でやっている税理士法人はかなり限られます。相続税専門と広告で謳っていても、実質は区分けなどなく、様々な業務の中で“相続税もやっている”というところも多いので注意です。

 

見極めるポイントとしては、事務所の規模感と申告件数でしょうか。年間で30件などは少ないと思います。せめて年間500件以上の事務所を選ぶとよいでしょう。ちなみにベンチャーサポート相続税理士法人は、年間1,700件の相続事例を取り扱っています。様々な事例を社内で情報として共有しているので、今後起こりうるトラブルも予期しやすいですね。

 

また、適切な見積もりを出してくれるかも重要です。申告の報酬は、一般的に遺産総額の1%と言われています。銀行から税理士を紹介してくれるという場合は、相場より高い金額を提示される場合もあるので要注意です。ご参考までに、ベンチャーサポート相続税理士法人の場合は、平均すると遺産総額の0.6〜0.7%程度。私たちが予算を抑えられているのは、集客をネットで行っているからです。銀行などの紹介を通じた営業活動をしていないので余分な経費がかからず、その分をお客様に還元できています。料金面についても、WEBサイトに明確に掲載しています。そういう部分も選ばれる理由の一つかなと思います」

「ワンストップサービス」のメリット

 

近年は会社設立の際に、自動的に定款が作れる便利なWEBサービスなども増えている。相続税申告書作成についても、このようなWEBサービスを活用するのは有効な手段なのだろうか。

 

「システムに従って情報を埋めれば、相続税申告書を自分で作れるWEBサービスもあります。サービス自体には賛成です。デメリットとしては、自分でやる作業が多く、労力がかかってしまう部分でしょう。またその申告資料に整合性があるかどうかは、基本的には自己責任。申告内容によって提出すべき添付書類が異なるため、自分で作成する場合、必要な提出書類を間違えてしまうリスクがあります。」

 

法事が終わり四十九日を過ぎると、名義変更、戸籍謄本などの資料収集など、遺産相続にまつわる諸々の手続きが発生してくる。手続きを行うために、行政書士や司法書士、弁護士など士業を渡り歩くことになるわけだが、この部分でおすすめしたいのが、ワンストップサービスだ。税理士法人・行政書士法人・司法書士法人・弁護士法人・社会保険労務士法人などが連携し、スムーズに手続きが行えるという画期的な仕組みだ。

 

「ベンチャーサポート相続税理士法人でもワンストップサービスを導入しています。相続対策についての情報を共有して必要な士業が連携することで、より適格に、よりスピーディに対応できるようになります。資料収集から請け負うことも可能です。弊社では必要に応じて不動産会社とも連携しています。縦割り式ではなく、組織体制的にフラットで、それぞれの事務所が一体化して一つの会社のように動けているのが強みでしょうか。一つのオフィスで情報を共有できるので、同じ話を二度三度する手間はなく、相続にまつわるすべての相談をスムーズに解決できます」

無料相談を活用して「頼れる専門家」を見つけよう

 

専門家に相談することで、個人では調べきれなかった手法や計画を提案してもらえる。古尾谷氏と三ツ本氏が携わってきた事例でも、相談者の8~9割は相続税の申告額が減少しているという。

 

「生前対策の場合、シミュレーションを組むことができるので、人によっては何百万〜何億円と納税額が変わる方もいます。また具体的な相談でなくても、生前対策や手続き面などを知識として知っておくだけでも、“いざというとき”の心づもりができたり、相続人の間で起こりがちな揉めごとも避けられたりします。専門家に相談して悪いことは一つもない、と自信を持って言えます」

 

知識と豊富な経験をもとに、悩みに併走してくれる専門家。相続人の間に起こりがちなトラブルも、専門家の中立的なアドバイスによって避けられることも多いだろう。最初からあまり身構えずに、無料相談を活用しながら、話しやすい専門家を見つけることが相続対策に繋がるのかもしれない。最初の第一歩をぜひ今日から始めてはいかがだろうか。

 

 

古尾谷 裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人(相続サポートセンター)

代表税理士

 

三ツ本 純

ベンチャーサポート相続税理士法人 税理士

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