長寿遺伝子を活性化させるNMNとの出合い
2015年にNHKの番組で長寿の薬と銘打ち、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の研究成果が放送されました(2015年放送「NHKネクストワールド」)。番組を観ていた私は「平均寿命が100歳を超える」という衝撃的なワードに驚きました。マウスの実験では糖尿病の改善、アルツハイマー症の予防、さらには年老いたマウスの細胞そのものを若返らせたという結果が公表されていたのです。
細胞の老化をコントロールするのは7種類のサーチュイン遺伝子といわれています。ただしサーチュイン遺伝子はスイッチが入らないと機能しません。そのスイッチを入れるのがNMNという物質だというのです。NMNは細胞のなかに存在しますが、年齢とともに減少していきます。そこでNMNを体内に投与すれば、老化をストップさせられるのではないかというのが番組の主な内容でした。
当時、NMNの商品化は世界中のどこもおこなっておらず未知の領域でした。私たちの会社はサプリメントとその材料の製造販売が事業の中心ですから、番組を見終えた私は「どこよりも先にNMNの商品化にこぎつけよう」と瞬間的に決意したのです。
「抗加齢サプリメントを生み出す」という信念
商品開発を始めたものの、ことは簡単には進みません。まず、NMNの材料が見つからないのです。NMNはブロッコリーやエビ、母乳などに含まれていますが、抗加齢の効果を期待するためには1日にブロッコリー2000房を食べなければならないほど、自然界から摂取するのは難しい物質です。そのため科学的にNMNをつくり出すための材料を探す必要があったのです。
「うちに材料がある」と自信を持って公言する数社を回りましたが、持ち帰って分析してみるといずれもニセモノでした。しばらくするとNMNのサプリメントを売る企業も登場しましたが、これらも極微量なNMNが含有されているだけでまったく意味をなしていません。出鼻をくじかれた思いでした。実際、社内にも諦めた空気が流れ始めていました。それでも「本格的な抗加齢サプリメントをつくりたい」という信念で走り続けたのです。
無我夢中の4年間。最高品質のNMNサプリメントの誕生
信頼できる外部研究機関と協力し、研究と検証を重ねました。既存の研究ではマウスによる効果のみが公表されていたので、2017年から2年かけてヒトでの効果を検証し続けました。集めたデータを厚生労働省に提出し、ようやく商品として認められたのが2019年。すでに4年の年月が流れていました。
サプリメントの多くは、既存の材料を利用して販売されますから、長期にわたる商品開発は異例のこと。正式な手続きを踏み、国に認められたパイオニア的商品が当社のNMNサプリメントになります。
サーチュイン遺伝子の活性率3倍!女性ホルモンも上昇
ところでNMNサプリメントについて「効果抜群ですか?」「すぐに何かが変わりますか?」などの質問を受けることがあります。これらの質問には今のところ「NO」と答えざるを得ません。NMNはジワジワと体内で増え、本人も気づかないところで細胞の老化に関与していきます。ですから「体感の変化はないのに、健康診断の数値が改善された」という声をよく聞きます。
私たちが外部研究機関と連携し調べたところでは、NMNサプリメントを3カ月間服用した60代女性で、サーチュイン遺伝子の値が3倍になった例や、閉経直後の女性に生理が再来し、女性ホルモンの上昇が見られたケースもありました。被験者からは「朝の目覚めがよくなった」「体力が戻ってきた」といった話が多く聞かれるのですが、実際、体内ではさまざまな抗加齢化が起きていると考えられるのです。
穏やかにじっくり。それがNMNサプリメントの特徴
薬の歴史をひも解くと、もっとも古い薬物書は2000年前に書かれた中国の「神農本草経」といわれています。そこには人の体への薬効の強さによって薬物は、「上品(じょうほん)」「中品(ちゅうほん)」「下品(げほん)」の3種類に分けられています。
上品は穏やかに作用し長寿へ誘い、長く服用しても副作用がほとんどないもの。中品は体力を増強する作用があり、一定以上摂取すると副作用の出るもの。下品は病気の治療に使われるが、長期間の服用は毒となると記されています。
NMNを神農本草経の考えになぞられるなら上品の分類に入ると私は思っています。長く飲み続けることで病気を防ぎ、老化の速度を緩める。そんなイメージで捉えていただけるとよいでしょう。
阿部 朋孝
株式会社ノルデステ 代表取締役社長