2017年1月から国税のカード納税がスタートし、法人クレジットカードを活用する機会が大きく広がりました。決済枠やポイント還元率を比較検討してカードを選択し、カード納税を行うことで、損益計算書の改善効果を実現できる環境が整ったといえます。一連の動きの背景とカード会社の対応について、一般社団法人クレジットカード相談士協会代表理事の花田敬氏とBlack Card Ⅰ 株式会社ラグジュアリーカードダイレクトセールス営業本部長の斎藤裕輔氏の対談を通して明らかにしていきます。

今後、キャッシュレス化の流れは加速する

花田 カード納税が2017年1月から始まったことを受け、我々は本格的にカード研究に取り組んでいます。税金は納付期限が決まっており、特に法人税は3月末決算、5月末納付で、3月末に決算を締めて税理士さんが処理し、5月の最終週くらいに社長に納税額を伝え「明後日までに払ってください」ということになります。「1,000万円を用意してください」と急に言われても、中小企業ではなかなか用意できません。

 

電子帳簿保存法などデジタル化に向かっており、国税庁には、キャッシュレス決済の一環としてカード納税を普及させる狙いがあるようです。キャッシュレス決済はクレジットカードに限定した話ではなく、デビッドカードでの支払い、コンビニ払いなどがあり、国税以外の都税、県民税、市町村民税も対応が進んでいます。

 

銀行窓口は午後3時までですが、キャッシュレス決済は24時間支払いが可能です。納税者のニーズに合わせ、国税庁が支払い方法の多様化を進めているわけです。今回、河野太郎さんがデジタル担当相になったこともあり、今後デジタル化の流れが加速していくとみています。

 

斎藤 現在では、すべての法人カードが決済できるようになっています。特に地方では金融機関に納付書を持参すると、コロナの影響もあり時間がかかりますが、オンラインなら空いている時間に簡単に納税ができます。

 

しかし、まだまだ浸透していません。その理由として、納税1万円につき83.6円という決済手数料の問題があり、1,000万円なら8万3,600円の手数料がかかることが敬遠される要因となっています。また、銀行とのお付き合いで作った一般的な法人カードは限度額が100万円、50万円なんていうこともあり、会社の税金の支払いに足りません。また、納税のやり方自体が分からず、税理士さんにも教えてもらえない、という実情があります。

 

「ラグジュアリーカード」は6年前に個人カードからスタートし、経営者の方々のニーズに応える形で、経費計上できる法人カードを2017年から開始しました。さらに、会員の方は納税や広告費など高額決済される方が多いため、このニーズにお応えするため、2年ほど前から事前入金サービスを開始しました。入金可能額は最大9,999万円で、キャッシュフローは現金納付の場合と変わりませんが、ポイントがしっかりつく商品設計にしました。高額決済ができるカードは限られており、この点は「ラグジュアリーカード」の強みだと考えています。

 

しかも、国税庁が推進しているキャッシュレス化を応援できているのではないかと自負しています。私たちの法人の会員様が2021年だけで倍増した要因として、事前入金サービスを開始し、納税のニーズに応えたことが大きいのではないかと考えています。 

 

 

花田 確かに、「ラグジュアリーカード」が高額の事前入金が可能になったのは大きいと思います。

 

斎藤 他のカードでは限度額の都合で支払いができず、支払えたとしても手数料で損をしてしまいますが、「ラグジュアリーカード」はポイントがしっかりたまり、会社にとってメリットのある納税が実現できます。経営者の方々は「ラグジュアリーカード」をステータス感で選ばれる方もいらっしゃいますし、実際に使ってメリットがある点を重視される方も多いと実感しています。

 

最上位のゴールドカードで年会費22万円という“投資”をしてそれ以上のリターンがあれば、カードを申し込み、そうでなければ申し込まないとロジカルに判断される経営者が多いと考えています。そして、ゴールドカードは業界最高水準の1.5%のポイント還元です。

 

「納税が楽しみになった」という経営者の声も!

花田 私はスタート直後からカード納税をしましたが、国税庁のホームページに決済手数料がかかることが書かれていました。このホームページを見た税理士がこぞってカード払いはマイナスになるという文章をブログに書きました。普通納税なら手数料はかからないが、カード払いは手数料を取られると。

 

また、国税庁の最初の説明では1,000万円までしか納税できないと書かれており、その後、複数回に分割すれば上限はないと変更されましたが、これもブログで書かれていました。こうしたことが、いまだに影響しているのではないかと思います。私は、決済手数料とポイント還元、資金繰りの改善効果などを加味すると、カード払いにはメリットがあると判断しました。

 

私の会社の場合は、ポイントをマイルに交換して出張旅費の費用に充てており、損益計算書上、非常にメリットがあります。しかし、納税で決済手数料を払っても会社の経営にプラスになることを理解しないと、単純にカード納税は損だという話になってしまいます。逆に、理解した人はカード納税を行い、結果として納税の楽しみさえ感じています。

 

相談士である税理士から教えてもらったのですが、クライアントが納税を喜ぶようになったそうです。ポイントをマイルに交換して視察旅行や出張に使い、結果として経営にプラスになるためです。もちろん、経費で落とせるものは落としますが、無理な節税はせずに、税金を支払うことで得られる利益があるということになると、皆納税をしたくなります。納税にカードを活用しない人は単に年会費を負担しているだけで、カードを持っていない人は納税することにメリットがあるという世界を知らないまま納税し続けることになります。

 

そこで、しっかり納税をして、これを経営の改善につなげるという考え方が浸透してくることが望ましいと考えています。この点で、ラグジュアリーカードが納税手数料を明確に超えるポイント還元率を設定したことは大きいと考えています。多額の納税をする人にとって年会費22万円は決して大きくありません。やはり、どれだけ使うのかによって、カードの種類を選ばなければならないと思いますし、他の付帯サービスに価値を見いだす人も「ラグジュアリーカード」を持つ意味があると思います。

 

 

斎藤 マイルももちろんですが、キャッシュバック、Amazonギフトなどでもカード券種に応じて1~1.5%の業界最高水準のポイントの還元率です。他のステータスカードでは100円=1ポイントとポイントは貯まるが、交換賞品の多くが1ポイント=1円でないことが多々あります。当社は還元率を固定しているため、安心してポイント交換をご利用いただいています。

 

さらに、カード会社によって、カード利用カテゴリーによりポイント付与率が変わるので注意が必要です。例えば、還元率1%のカードでも、納税や公共料金の場合は、0.2%~0.5%となる場合もあります。それに対し、ラグジュアリーカードでは納税でも変わらず、Gold Cardであれば1.5%の還元率を実現しています。

 

納税額に対応出来る決済枠の提供、納税手数料を大きく上回るポイント還元率、このカード納税では外せない両方条件を満たしているのは当社のみと認識しております。

 

花田 ポイントの使い方は経営者の考え方しだいです。例えば、経営的なメリットを得たい場合には、ポイントをキャッシュバックに利用することで企業の利益率改善につながります。一方、福利厚生に利用すれば、社員の士気が上がり生産性や売上が向上する効果が期待できます。財源は年間手数料の中から出ているはずなので、決済することによって年会費を取り戻している部分はありますね。

 

決済枠が広がれば「カード納税」が普及する

斎藤 私たちはお客様に喜んでいただくためのサービスを大前提としており、サービスの充実を図った結果として、カード納税という納税のキャッシュレス化推進のお役に立つことができたという順序です。国税庁は2025年(令和7)までにキャッシュレス納付率40%という目標を掲げており、今後どんどん増えていくと見ています。今年の法人税のキャッシュレス納税額は過去最高となっており、我々はかなり貢献できるのではないかと考えているところです。

 

花田 納税は還元率もそうですが、決済枠の問題が大きいとみています。決済枠が足りないと納税に使ってしまったら毎月の広告費用の枠がなくなり、決済できなくなるという現実的な事情があるので、決済枠が広がるとカード納税は普及するとみています。

 

先日、大手カード会社から決済枠についてのアンケートが届きました。納税に伴う決済枠の問題をカード会社がかなり意識している証拠だと思います。

 

納税は、法人カードの普及という点で大きなポイントになり、決済枠が最も重視されると考えられます。同時に、国税でも1,000万円の枠では足りないという人もたくさんいるので、そこは無制限に広げてほしいと思います。こうした中で、「ラグジュアリーカード」は1億円のデポジットを実現し、ポイント還元率も業界最高水準、コンシェルジュなどどんどんサービスを拡充しており、経営者の方を中心に勢いがついていますね。