法人向けクレジットカード(法人カード)は、決済枠の拡大、サービスの多様化が進み、さらに2017年からはカード納税がスタートするなど、企業経営に欠かせないツールになりつつあります。経営者のニーズにマッチしたカードを持つことでビジネスの可能性が広がる時代が到来したといえます。なぜ、クレジットカードの見直しが不可欠なのか、一般社団法人クレジットカード相談士協会代表理事の花田敬氏とBlack Card Ⅰ 株式会社ラグジュアリーカードダイレクトセールス営業本部長の斎藤裕輔氏の対談を通して明らかにしていきます。

ライフプランに合ったカードを活用する時代

斎藤 花田さんはクレジットカードに関する啓蒙活動を行い、その一環として法人カードの見直しの必要性を訴えておられます。まず、その背景から教えていただけますか。

 

花田 私は一般社団法人クレジットカード相談士協会の代表理事として、クレジットカードに関する情報や活用法を経営者とその家族にお伝えしています。また、カードの使い方を教える相談士の育成を行っています。

 

それ以前に、私自身がユーザーとしてクレジットカードを使い、法人の決済にもいち早くカードを取り入れました。評論家というよりむしろ実務家の立場であり、カードの年会費は個人、法人を合わせて年間100万円を超えています。

 

そうした立場からみていると、カード会社は世の中の流れに合わせて多種多様なサービスを開発、展開しています。その一方で、経営者は銀行に紹介されたカードを使い続けているケースが多く、そのカードが時代に合わなくなってきているケースが多いです。

 

会社の決済についても、かつては50万円、100万円程度の決済枠だったものが、今では500万、1,000万円も可能になるなど、どんどん進化しています。さらに、ポイント還元率の高いカードなど多様なカードが発行されていて、ライフプランの変化に合わせて活用されるようになっています。

 

特に、年収が若い時より大幅に増え、年会費が払える人は、自分のライフプランに合ったサービスを受けられるカードを持つべきです。そこで、毎年とまでは言いませんが、カードを定期的に見直すことが欠かせないのです。

 

 

斎藤 法人カードも変化が著しい状況です。

 

花田 会社経営でも、さまざまなものがクレジットカードで払えるようになりましたが、中でも大きいのは、国税庁が税金のカード払いを認めたことで、カード会社もその変化に対応しています。また、ネット広告などはほとんどカード決済を要求されるなど、ビジネスのやり方が変わってきたので、変化に対応したカードが必要です。

 

斎藤 現状を見ると、単なる決済手段として使っている方が多く、ポイントもあまり有効活用されていません。カード会社は世の中の情勢に合わせてサービスの充実化を図っているので、能動的に情報を取りにいく必要がありますが、経営者の方は本業が忙しくて、その暇がありません。

 

カード決済導入が売上、利益の増加につながる

花田 我々が情報を提供すればするほど、経営者は「なるほどそうか」「それはいいね」という反応をします。相談士のアドバイス先の企業は数千社に上り、1万社に届くかというところまで広がっています。これまで法人でカードが普及しなかったのは使い方やカード決済のメリットを知らないからだと思います。

 

特にインパクトが大きいのは税金で、決算が赤字でも法人は消費税を払い、給料を払えば源泉所得税を払います。毎月の帳簿に税金支払明細が出てきますが、それをカードで決済すれば支払いが翌々月になります。こうなると資金繰りが大幅に改善できます。こうしたことに気づいていない経営者が99%ではないでしょうか。

 

斎藤 花田さんたちの活動が評価されているからこそ、クライアントが1万社規模に増えているのだと思います。

 

花田 経営者や開業医が興味を持っているのは、売上を上げ、利益を残すというお金の話、そして人の問題です。クレジットカードのポイントを従業員の福利厚生に活用できるというアプローチをすると反響があります。

 

また、カード決済に移行することで新規の取引先を獲得できるチャンスもあります。カード好きの歯科医が患者さんに治療費のカード払いを認めたところ、ポイント、マイル好きの患者さんが来るようになり売上が増えたという事例があります。カード払いは振込手数料がかからず、ポイント、マイルを出張旅費に充てると一般管理費の出張旅費を削減することができ、利益が増えます。

 

カードの使い方次第で、売上と利益が上がり、さらに支払いが翌々月なので資金繰りが改善します。また、人材確保にカードのポイントを活用し、福利厚生を充実させることもできます。このように、会社にさまざまなメリットが発生するのですが、こうした活用法を教える人がいないのです。

 

 

斎藤 今月、「ラグジュアリーカード」が実施したポイントをJALのマイルに移行する際の上限撤廃は非常に評価されています。こうした新サービスの発表時にはプレスリリースや会員向けメールマガジンなどでご案内し、会員サイト、SNSなどでもご紹介しています。しかし、大半の方々はカードを決済の手段のみとして考え、付帯サービスをあまり活用されていません。たまったポイントの活用法、先ほどおっしゃった福利厚生への活用などをいかにお伝えするかは、カード会社にとっての課題かもしれません。

 

花田 各社ともにCMを含め広報活動は行っていますが、こと法人カードとなるとコンサルティングが必要です。あなたの会社の経営に一番適したカードを紹介します、という立場の人がいなかったのだと考えられます。付帯サービスを含め、経営者はまだまだ使いこなせていない状況です。

 

コンシェルジュの金銭的価値は大きい

斎藤 「ラグジュアリーカード」はコンシェルジュサービスに力を入れています。

 

花田 経営者はコンシェルジュをどんどん使うべきだと思います。私は先月サンフランシスコに出かける際、出国、入国時のPCR検査をどうすればいいのか分からず、コンシェルジュに教えてもらいました。特に、海外では急に調べる手段がなくなります。海外から帰ってくる72時間前にPCR検査を受けなければなりませんが、陽性だった場合のホテルや飛行機の手配やキャンセルなど、コンシェルジュなしには対応が難しいと思います(※2022年9月7日午前0時より水際措置が変更となります)。

 

つまり、自分が普段と異なる場所や環境に行くときには、コンシェルジュは有効です。社員が海外出張に行く場合、大企業なら海外の事務所があるかもしれませんが、中小企業にはありません。現地の情報を収集したり、何をするにも頼る場所がありません。

 

斎藤 コンシェルジュを付帯サービスとしているカードは複数ありますが、私たちの「ラグジュアリーカード」には明確な違いが3つあります。一つが自動音声による案内ではなくダイレクトにコンシェルジュにつながりますので、忙しい経営者の方々にストレスなくご利用いただけます。もう一つは、電話以外にもメールでご質問いただきメールで回答を返信する対応を取らせていただきます。

 

花田 二つ目のメールは非常に便利で、私も使っています。

 

斎藤 メールは写真も送れますので、海外で食べた料理の写真を送り、この料理を日本でも食べられるお店はないかと問い合わせるような使い方もできます。

 

三つめにチャットのサービスもあり、メールよりもさらに気軽にコンシェルジュとやり取りができます。たとえば、知り合いの社長にお花やプレゼントを贈る際に、総務や秘書にお願いするとその人たちの時間を使ってしまいますが、コンシェルジュにアウトソースすることで、会社のリソースを他の仕事に生かしていただけます。

 

各社のコンシェルジュサービスを活用していらっしゃるお客様から、ラグジュアリーカードさんのコンシェルジュは他の会社よりセンスがいいとおほめいただいています。

 

花田 自分でやるのも社員に頼むのも難しいことはコンシェルジュに聞くのが一番早いと感じています。しかし、それを経営者が使っているかとなると、そうではないのではないかと思います。経営者の方々は、コンシェルジュの活用には相当な金銭的な価値があることを認識した方がいいのではないかと思います。

 

斎藤 奥様の誕生日を忘れていたので20万円くらいのプレゼントを教えてほしいなど、コンシェルジュはざっくりとしたご要望にもお応えすることができます。アイデアが浮かばないので相談したいという文化が醸成されていくと、非常に可能性が広がるのではないかと思います。お客様の幅広いご要望、ご相談に24時間、365日対応してきた経験を通し、コンシェルジュのサービスが整備されています。また、コンシェルジュにお礼の連絡をしてくださる方もいらして、紹介してもらったお店は非常によかったというご報告いただいた場合などは、その情報をコンシェルジュが共有することになります。

 

花田 「ラグジュアリーカード」のコンシェルジュは検索のリテラシーが非常に高いですね。以前、雪祭り前後に札幌に用事があった際にビジネスホテルが全部埋まっていて、通常5,000円程度のビジネスホテルが30万円になっていました。その時にコンシェルジュに相談したら、一泊5,600円のホテルを教えてもらいました。やはり、情報を持っているのですね。私たちがイメージしているよりも、はるかに検索調査能力、価格交渉力があると感じます。