今年2月、幻冬舎ゴールドオンラインにて取材記事が連載されると、その日からオンラインセミナーへの問い合わせが殺到。3月に販売を開始するや、3ヵ月後には完売御礼を出した投資商品がある。テンフィールズファクトリー株式会社の『コンテナファーム投資』だ。「菌床しいたけ」を「コンテナ」で生産するというビジネスモデルに、なぜ投資家は鋭く反応を返したのか。市川裕代表が、発売から半年が経過した『コンテナファーム投資』の現在に至るまでを報告する。

「しいたけ×コンテナファーム」が高利回りを導くワケ

三重県いなべ市に展開中のコンテナファーム第一弾44基(初期出資1,250万円)は、3月に実施した弊社オンラインセミナーを機に販売に着手し、5月末には完売した。反響の大きさの第一の要因は今どきとしては珍しい2桁を超える高利回り(実質12.2%)にある。

 

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世界で人気の農業投資 「しいたけ栽培×コンテナ温室投資」が選ばれるワケ

 

代表・市川裕氏(以降、市川)「高利回りを確保できる最大の理由は、しいたけという農産物に着眼したことにあります。既存のしいたけ農家さんの栽培環境は、我々が想像していた以上に課題が多い。この半年間、実際に身を置き収穫・出荷を重ねていくうちに、日本のしいたけ生産現場の苦境が手に取るようにわかってきました。

 

問題は大きく分けて二つあります。一つ目は供給元の少なさです。

 

国内にて、ビニールハウス内でしいたけを生産するとなると、北海道・岩手・秋田などの寒い地方でなければ難しくなります。福島・群馬・長野などから出荷できるのは1年のうち3~4ヵ月に限られ、とにかく環境が整っていなければ生産ができません。

 

また国内市場に出回っている「干ししいたけ」の多くは中国からの輸入品で、「中国産生しいたけ」は日持ちが悪いため店頭に並ぶことはまずありません。

 

ただでさえ希少価値のある国内のしいたけ農家ですが、働き手の高齢化と後継者不足で年間3~5%の方がやめていってしまいます。いろんな料理に使われ、安定した需要があるにも関わらず、供給元は年々減り続けているのです。

 

もう一つは、栽培技術の問題です。しいたけは、かつてはクヌギやコナラなどの原木に菌を植えてつくる『原木栽培』が主流でしたが、今では全体の9割以上が『菌床(きんしょう)栽培』、つまりオガクズなどの木質基材に栄養源を混ぜた菌床を使った栽培を行っています。それにより、原木栽培の10倍以上の生産量が見込めるようになりました。

 

菌床から生えるしいたけ

 

そこまではいいのですが、全生産量の9割以上が台風や自然災害の影響を受けやすいビニールハウスで作られているため、気候変動により収穫量が変わり、需要供給のバランスがとれません。想定した以上に栽培環境が悪いというのはこのこと。こうしたしいたけ生産が抱えるいくつもの課題を、『コンテナファーム』は一気に解決しました」

バイヤーとの商談成立は高確率!コンテナのスゴい環境

コンテナファームのコンテナは、港湾に積まれている物流用のコンテナとはまったく別物だ。「リーファーコンテナ」と呼ばれる冷凍・冷蔵貨物の輸送用の特殊コンテナを2棟連結したもので、高い断熱性と気密性を誇る。さらにしいたけ栽培を効率的に行ないかつ品質を管理するため、コンテナ内を一定の温度・湿度、二酸化炭素濃度を保つ空調設備が作動している。

 

いなべ市で実際に使用されているコンテナ

 

市川「ビニールハウスは、寒い外気を遮断し温かい環境のなかで植物を育てるのには適していますが、その逆に冷やすことは難しい。しかし、コンテナという一種の密閉空間なら可能です。また、台風や水害などの外部環境の影響をまったく受けずにすみます。

 

1基のコンテナ内は、7段の棚に約2,500個の菌床が格納されています。一つの菌床からは約600グラムのしいたけが、もちろん1年を通じて収穫できます。温度や水分量を調節することで、M・L異なるサイズを計画的に生産することもできます。光熱費も抑えられ、電気代はビニールハウスの10分の1程度ですみます。

 

(三重県いなべ市での様子)
密閉されたコンテナ内で温度・湿度をコントロールしている(三重県いなべ市での様子)

 

販売開始から半年。特にこの夏場を経験して、私はコンテナファームに対する自信をさらに深めました。夏場は温度や湿度がしいたけの生育に適さないため、どうしても傘が開き品質が落ちてしまいます。しかしコンテナ栽培の場合は季節に関係なく、オールシーズン均一な形・大きさのしいたけを、需要に合わせて計画的に生産できるのです。

 

農業の発展のためには生産性を上げることが肝要です。大きな工場はコストがかかるので、コンテナといういわば“農業用コンテナ温室”で、季節や天候に左右されず高品質のしいたけを安定して生産できるようにした。これがコンテナファームの基本的な考え方です。

 

ですから、スーパーのバイヤーへの営業はほぼ“百発百中”で決まります。『あっ、違うね』──品物を見た瞬間に答えが出ます。逆にいえば、それだけ夏場のしいたけの品質は落ちていて、弊社しいたけの品質が際立つのです。味の素の営業マン時代、新商品商談の壁をいやというほど経験した私にとって、ちょっと信じられない光景ではあります」

投資家たちに好評を博した「投資スキーム」の全貌

コンテナによる菌床しいたけの栽培は、テンフィールズファクトリーの専売特許ではない。他にやっている企業も、少ないとはいえある。しかし、これをビジネスモデルとしてきちんと制度設計し、「コンテナ栽培投資」という一つの投資商品として販売したところに同社の真骨頂がある。

 

市川「弊社のゴールは、日本一のしいたけ生産業者になることではありません。コンテナ栽培という革新的な栽培方法を全国に波及させ、しいたけという農作物の需給バランスの改善に貢献できればと考えています。具体的にどんな商品なのか、投資スキームをご紹介しましょう」

 

スキーム

 

市川「まず投資家の皆さんには、弊社からコンテナと菌床(170円/個)を購入していただきます。それを子会社であるテンフィールズファームが買い取り、コンテナ内でしいたけを栽培し収穫します。生産管理や販売先の開拓、製品の出荷などは一切当方で行なうので、投資家の皆さんは現場にはノータッチとなります。

 

投資者に還元されるのは、しいたけの売却益ではありません。お預かりして栽培を完了した菌床を、しいたけごと、テンフィールズファームが購入時の2.2倍の価格(380円/個)で買い取りし、この差額が皆さんの収益になります。しいたけは需要も安定しており価格変動リスクは極めて少ないのですが、皆さんに高利回りを確保していただけるようこのようなスキームを考案しました。

 

第1弾のコンテナ44基をお買い上げいただいたのは、法人・個人を問わず、サラリーマンの方も含めて幅広い方たちでした。大変好評につき、第2弾・三重県多気郡明和町の16基(最終的には75基を予定)販売を、8月から開始します」

 

ここまで、しいたけを栽培する「コンテナファーム投資」が高利回りとなるワケについて説明してきた。しかし3ヵ月で完売するほど、「コンテナファーム投資」が投資家たちの目に魅力的に映った理由は、なにも収支という側面だけではない。

 

続く第2回では、高利回りだけにとどまらない「コンテナファーム投資」の強みと魅力、そして今、なぜ「農業投資」なのか?について深掘りしていく。

 

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世界で人気の農業投資 「しいたけ栽培×コンテナ温室投資」が選ばれるワケ

取材・文/平尾俊郎 撮影/菅慎一(人物)
※本インタビューは、2021年8月11日に収録したものです。