(※写真はイメージです/PIXTA)

2032年の夏季五輪の開催地に決まったオーストラリア第3の経済都市、ブリスベン。過去の事例によると、五輪のような国をあげてのイベント開催が決まると、再開発や都市整備の機運から不動産価格が値上がりするとされています。はたして、ブリスベンの場合はどうなるのでしょうか? 32年間にわたってオーストラリアで不動産ビジネスを手掛けている、株式会社ワイドエステートの砂川盛作代表が解説します。

ブリスベンを中心とする「SEQエリア」で競技が開催

IOC(国際オリンピック委員会)は7月21日、2032年夏季五輪・パラリンピックの開催地をオーストラリア第3の経済都市「ブリスベン」に正式決定しました。

 

筆者はオーストラリアに住んでいますが、1956年のメルボルン、2000年のシドニーに続き、世界最大のスポーツのイベントが再び開催されることが決まり、メイン会場をはじめ各種競技が実施される予定のブリスベン周辺のエリアは、このニュースで賑わっています。

 

また、ブリスベンだけでなく、リゾート地としても知られる「ゴールドコースト」でも多くの競技が行われる予定です。なぜゴールドコーストなのかというと、イギリス連邦加盟国による最大のスポーツイベント「コモンウェルスゲーム」が2018年に開催されており、そのために建てられたスポーツ競技施設が使えるからです。

 

ちなみに、ブリスベンとゴールドコーストはオーストラリア東部のクィーンズランド州に位置しています。クィーンズランド州政府は、ブリスベンを中心とした120キロ圏内(ゴールドコーストを含む)を「SEQ(South East Queensland Region)」という「戦略的成長エリア」に定めており、日本語で「クィーンズランド州の南東部都市圏」と訳されます。まさにこのSEQエリアで、各種五輪競技が行われるのです。

 

ブリスベンとゴールドコーストの2都市間にかけて広がるこのSEQエリアは、常に政治・経済の議論の要となっています。それを象徴するかのように、州政府より公表される土地鑑定情報によると、不動産取引数と金額はこのSEQエリアが際立っており、そのなかでブリスベンとゴールドコーストが頭一つ抜け出ています。

 

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