州政府がブリスベン都市圏を「戦略的成長エリア」へ
オーストラリア第3の都市「ブリスベン」は、クィーンズランド州最大の経済都市で、2032年の夏季オリンピック開催の最有力候補地となっています※。このような背景から、ブリスベンへの興味・関心が高まっています。
※原稿執筆後の2021年7月21日に、IOC(国際オリンピック委員会)は、2032年の夏季五輪のブリスベンでの開催を決定。
注目の地域を厳密に言うと、ブリスベンを中心とした120キロ圏内ということになります。現地ではこのエリアを、「South East Queensland Region(SEQ)」と呼び、日本語では「クィーンズランド州の南東部都市圏」と訳されます。
では、ブリスベンを中心としたこのエリアに、なぜ注目が集まっているのでしょうか?
その理由を簡単に説明すると、クィーンズランド州政府がこのSEQエリアを「戦略的成長エリア」として制定しているからです。具体的には、雇用機会を創出する事業環境エリアの整備・公共インフラ整備に関する投資(社会資本)を集中させています。
日本の「国土利用計画法」の仕組みと同様、クィーンズランド州には「Shaping SEQ(SEQエリアに的を絞った土地の有効活用に関する法律)」という州独自の土地計画法が制定されており、これを基に都市計画が進められています。
2017年に制定されたこの「Shaping SEQ」の戦略のポイントは、「人口の増加」です。現在のクィーンズランド州全体の人口は500万人程で、その7割に相当する350万人がこのエリアに住んでいます。
ブリスベンを含むSEQエリアは、オーストラリア全土で3番目に大きい都市圏でもあり、2042年までに人口がさらに180万人増加し、住宅は72万戸が新たに建築される予定です(現在進行中)。