写真:クリオ レジダンス八王子ザ・マークス(2019年竣工)

多額の家賃収入をもたらす1棟投資不動産。相続税対策にも有効と富裕層に人気だが、相続が発生した際の分割の難しさが最大のネックになっている。そんな1棟投資不動産のデメリットを解消する商品が、分譲マンション「CLIO(クリオ)」で確固たる地位を築いている明和地所株式会社の提案である。同社営業推進本部 ウェルスソリューション部 部長の前田崇裕氏に、「区分登記1棟マンション」の概要を伺った。

ここが違う!「区分登記1棟マンション」のメリット

相続のしにくさが問題となる1棟投資不動産。分割が難しいことからトラブルの原因となりがちだ。もしデメリットへの対策を備えた1棟投資不動産があったとしたら……、そんな理想の実現に向けて動いたのが、明和地所株式会社である。

 

「弊社はこのたび、『1棟の建物を区分登記された状態で所有する』という商品をご用意しました。遺産分割や売却を円滑に進めることが可能で、相続税を含む税金対策にも繋げられます。またそれを小口化した商品の販売も予定しています」

 

それでは以下で、明和地所株式会社の商品の特徴を、従来の1棟投資不動産と比較しながら見ていこう。

 

明和地所株式会社営業推進本部ウェルスソリューション部部長 前田崇裕氏
明和地所株式会社 営業推進本部 ウェルスソリューション部 部長 前田崇裕氏

1棟投資不動産にはない「分割のしやすさ」

「今回の商品は、相続時の分割のしやすさを念頭に置き開発しました。事業展開を検討するにあたり、多くの金融機関や税理士等へヒアリングを行いましたが、やはり『1棟投資不動産は入れ替えが前提となっているので、いざ相続となった際に相続税の申告・納付の期限である10ヵ月以内では話がまとまらない』という意見が挙がりました。また『とりあえず共有名義にする』という選択をしても、のちに揉め事へ発展してしまうケースは多いようです。

 

しかし今回の商品はオーナー様が1棟単位で購入されるとしても、各部屋ごとに所有権の登記をします。このため相続が発生しても分割しやすくなります。親族間で発生する『争族』を未然に防ぐことができる商品であると自負しています」

 

各区分ごとに所有権の登記をするため、各戸の名義も自由に設定可能だ。

 

「『敷地利用権』となる土地、建物の共有部分は、専用面積割合による所有権の共有となり、その旨が登記されることとなります」

 

[図表1]遺産分割が容易になる、区分登記1棟マンション

「管理組合」設立可能に…所得税の圧縮効果が見込める

「『区分登記1棟マンション』は1棟単位で購入しますが『区分所有の集合体』という不動産になります。お子様などの持分を区分所有建物に所有権登記をすることで、従来の1棟登記型では設立できなかった管理組合を設けることができます。管理組合を設立することで『区分所有法』を遵守する義務が発生しますが、管理費は毎年、修繕積立金は修繕を実施した年に経費計上することで所得税への対策効果が見込めるでしょう」

 

※管理組合の設立には、配偶者の方やお子様など、ご本人様以外の区分所有建物の所有権登記が必要となります。

 

資産に余裕のある富裕層は、管理組合との煩雑なやり取りを避ける意味で、1棟投資不動産を購入する傾向がある。しかし区分登記1棟マンションを複数人所有として、管理組合を設置するメリットは、所得税の圧縮だけにとどまらないと、前田氏は力説する。

 

[図表2]区分登記1棟マンション、管理組合設立可能例

「キャッシュフローが平準化」する

「複数の所有者が存在するマンションでは、管理組合の設立が義務付けられています。その役割の中で大きな比重を占めるのが修繕計画。建物が存在する以上、経年劣化は避けられませんし、修繕箇所によって費用が莫大になることは、多くの人が知るところ。そうした時期に備え、管理組合が各戸から積立金を定期的に徴収し、蓄えておく。これが一般的な分譲マンションの修繕への備えです」

 

しかし管理組合を持たない個人オーナー所有の1棟投資不動産では、修繕計画をきちんと立案しているケースが少ないと、前田氏は指摘する。そもそも転売を前提に購入している富裕層が多く、必要以上の出費は抑えたいと考える傾向にある。

 

「そうした状態で所有してきた1棟投資不動産の一番の懸念事項は、不動産価値の低下です。転売を検討する際、購入希望者が物件の修繕履歴に向ける目は、非常に厳しいものがあります。購入後に大規模修繕が必要と判明したら、莫大な追加費用がかかるからです。『自分の所有期間に多額の修繕費用を支払いたくない』と考えるのは、誰でも同じということです。

 

しかし管理組合を持たない1棟投資不動産の中には『問題が大きくならない限りは修繕はしない』とか、『修繕はしていてもきちんと履歴を残していない』というオーナーが意外に多いのです。そうなれば物件の価値、そして売却価格はどんどん下落してしまいます。また、そのような物件を相続するとなれば、相続人の負担は大きくなってしまうでしょう。その対策として、前出の[図表2]で説明した区分登記1棟マンションを提案いたします。

 

1棟であっても所有権を各部屋ごとに複数人で登記し、管理組合を設立する。修繕計画を立て、予め修繕費用を蓄えておく。そうすることでキャッシュフローの平準化に繋がります」

 

※NCF(ネットキャッシュフロー)とは賃料収入から修繕まで含めた経費を差し引いた実質的なお金の流れ ※クリオ ラヴェルヴィ名古屋花ノ木の修繕計画を基にシミュレーション
[図表3]修繕計画の有無によるNCF(ネットキャッシュフロー)比較イメージ ※NCF(ネットキャッシュフロー)とは賃料収入から修繕まで含めた経費を差し引いた実質的なお金の流れ
※クリオ ラベルヴィ名古屋花の木の修繕計画を基にシミュレーション
 

各部屋ごとに所有権の登記をし、管理組合も設立可能という、明和地所株式会社の「区分登記1棟マンション」。区分所有法に従い、きちんと費用を積み立てておけば、急な修繕支出に慌てる必要はない。つまり、ネットキャッシュフローの平準化が実現するのだ。「時期を見て転売する」ことが目的ではなく、「次世代へ資産として遺す」ことを目的とした、1棟投資不動産の新しいカタチといえるだろう。

 

「また、1棟のうち複数の住戸を取り纏めてお一人の買主様にご購入いただく、セット販売も検討しております。例として40戸の集合住宅のうち、4戸を取り纏めてセットとし、10人の買主様にご購入いただくというものです。区分登記1棟マンションの小口化のようなものとお考えいただければと思います。

 

【図表4】複数の住戸を取り纏めてセットとする色分けでのイメージ

 

これは『減価償却費を活用した所得税対策』と『団体信用生命保険を利用した保険的な意味合いを持たせる』商品となっております」

 

本商品には、1棟投資不動産の相続デメリットを一気に解決するポテンシャルが秘められている。次回はその開発秘話について伺っていく。