高稼働率の動くホテル「トレーラーホテル」はなぜ注目されるか

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株式会社ヒーローライフカンパニー
高稼働率の動くホテル「トレーラーホテル」はなぜ注目されるか

今年3月1日、株式会社ヒーローライフカンパニー(東京都港区)は、自社国内工場で製造する工場生産型木質ユニットを活用したトレーラーホテル事業「Trail inn」の第1号プロジェクトの「Trail inn 那須塩原」(栃木県那須塩原市、36室)をオープンした。オープンして4ヵ月、満室状態が続いているという。トレーラーホテルは、同社が東日本大震災の経験から開発した工場生産型木質ユニットを車体に設置し、宿泊施設として提供するもので、移動が可能。災害時の仮設避難所やコロナ対策の隔離施設や休憩施設として要請があった場合は、移動して社会貢献が可能な「動くホテル」です。トレーラーホテル事業を統括する株式会社ヒーローライフカンパ―常務執行役員の仲田幸嗣氏が、トレーラーホテル事業が絶好調な理由を語ります。

長期滞在でも快適に過ごせる「トレーラーホテル」

今年3月1日にオープンした「Trail inn 那須塩原」はこの4カ月間、“ほぼ満室”です。もちろんホテルですから、100%ということはありません。いざというときのため、またいつでもトレーラーホテルを見学できるようにと空室1~2室を確保しています。ただ、36室のうち34室が埋まっているというは、正直想定外です。

 

いま、キャンプやグランピングがブームです。テント、ランタン、BBQセットなど、アウトドアグッズが仕入れたそばから売れているといいます。私自身、バイクが好きで、ツーリングをやりますが、「虫がダメ」ですからテントには泊まりたくない。こういう人が少なからずいて、宿泊でも快適性を求めているのかもしれません。

 

トレーラーホテルならユニットバス、トイレのほか、キッチン、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、クッキングヒーターも常備していて、家にいるのと同じです。だから長期滞在でも快適に過ごせる仕様となっています。広さは13㎡。私は仕事で出張が多いので、いろいろなホテルに泊まっていますが、特に狭いとは感じることはありません。

 

広さ13㎡で、ベッド、ユニットバス・トイレのほかキッチンや洗濯機なども完備している。
広さ13㎡で、ベッド、ユニットバス・トイレのほかキッチンや洗濯機なども完備している。

 

宿泊施設が全くない場所なら納得できますが、近くにはビジネスホテルが2つあります。コロナの影響もあり、テレワークで使うとか、少しでも密を避けたいという気持ちが働くのかもしれません。

 

それにしてもオープン当初から満室なのが謎なのです。絶好調で嬉しい悲鳴なのですが、「満室になる理由」がハッキリとしません。その謎が解けないことに一抹の不安を覚えています。

 

不動産取得税不要、建築確認申請もいらない

投資家の皆さんは、「トレーラーハウス」をご存じでしょうか。よく外国映画などに、シャーシの上に小さな家を乗せて走っているシーンが登場します。タイヤがついていますが、ハウスそのものにエンジンが搭載されていて自走するのではなく、移動の際は必ず牽引車が必要です。これがトレーラーハウスとキャンピングカーとの違いです。

 

内装や設備は一般住宅と変わりません。電気、ガス(プロパンガス)、水道などのライフラインは、必要に応じて移動先で引き込むことができます。それゆえ、どこへでも簡単に移動でき、到着したその日から家にいるのと変わらない快適な生活を送ることができます。

 

もちろん公道を自由に走ることができます。なぜなら、トレーラーハウスは建造物ではなく「車両」だからです。1台ずつ運輸省に車両登録し、ナンバープレートもちゃんと取得しています。トレーラーハウスは不動産ではないので不動産取得税、固定資産税はかかりません。そのかわり、自動車税の税金がかかります。

 

トレーラーハウスは建物ではなく、車両。公道を走ることができる。
トレーラーハウスは建物ではなく、車両。公道を走ることができる。

 

トレーラーハウスを1カ所に集合して設置し、旅館業法に則して宿泊施設として展開したのが「トレーラーホテル」です。「Trail inn(トレイル イン)」は当社のブランドで、第1号店の「Trail inn 那須塩原」(36室、栃木県那須塩原市)に続き、2号店の「Trail inn 常陸大宮」(14室、茨城県常陸大宮市)を6月1日にオープンしました。3号店「Trail inn 稲敷」(24室、茨城県稲敷市)は9月、開業予定です。

 

原点は東日本大震災の復興住宅の供給

実は、トレーラーホテル事業への進出は、当社にとっても大変大きな賭けでした。ヒーローライフカンパニーの本業は、フランチャイズによるマンション(「ヒーローマンション」シリーズ)建設。主に東北地方を営業基盤に、マンションの建材や水回りユニットを自社工場で生産し、FC会員に販売してきました。

 

では、なぜ今トレーラーホテルだったのか──。そこには、東日本大震災で住宅を津波で流された会員企業のため、ユニットバス・トイレ・洗面所が一体となった工場生産型木質ユニットを応用して開発した木造ユニットアパートを生産、供給した経験・ノウハウがあります。今も那須塩原の工場には木造ユニットのレーンがあります。

 

仲田幸嗣・株式会社ヒーローライフカンパニー 常務執行役員
仲田幸嗣・株式会社ヒーローライフカンパニー 常務執行役員

 

現在、当社では北海道、福島、茨城、宮崎、宮古島など国内11棟251室(自社運営2棟106室、運営サポート3棟45室)の「コンテナホテル」の企画、設計、施工、運営の実績があります。また、独自のマーケティングによる候補地選定、コロナ禍でも高い客室稼働率を維持、合理化、省力化も徹底した運営方法で成功を収めています。ですから、トレーラーホテル事業はいつでもやれる自信はありました。

 

昨年4月、コロナ感染拡大の緊急事態宣言のとき、このようなトレーラーホテルが現場に駆け付け避難場所や仮設住宅の代わりに利用できる、いわゆる〈動くホテル〉としての特性が注目されました。その後、コロナ対策の隔離施設やPCR検査場としての用途が創出されたこともあり、昨年のゴールデンウィーク後に本格的にトレーラーホテル事業を立ち上げました。

 

次回は、今年3月にオープンした「Trail inn那須塩原」の建設、販売の状況を振り返りながら、トレーラーホテルの可能性、そして投資物件としての魅力を掘り下げていきたいと思います。

 

仲田幸嗣

株式会社ヒーローライフカンパニー 常務執行役員

 

取材・構成/平尾 俊郎
※本インタビューは、2021年6月4日に収録したものです。

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