海外不動産の中でもメジャーなハワイ不動産。現地宿泊施設の需要は常に過多で、投資対象として人気のあるホテルコンドミニアムなどでも安定的なインカムゲインが期待できる。本連載では、ハワイ現地で長年トップリアルターとして活躍する(年間55件、計35億円/2017年実績)、コールドウェルバンカーの寺平美希子氏に、ハワイ不動産投資の最新事情と「いま現在」の上手な買い方などを伺った。第2回目のテーマは、ハワイ不動産は「誰」から買えばよいのかである。

小さな不動産会社の場合、アフターフォローに限りが!?

ハワイ不動産は、海外不動産投資を考えている日本の方が真っ先に思い浮かべる投資先の1つです。旅行で何度も訪れて馴染みのある場所だということもあるでしょうし、日本人がたくさん住んでいるので、物件を貸しやすく、安定的なインカムが期待できるのではないかと思われる方も多いようです。

 

実際には日本人だけでなく、米国人や、その他の国・地域から移住したり、観光で訪れてホテルコンドミニアムを借りたりする方も大勢いらっしゃいますので、需要はかなり安定しており、継続的なインカムが期待できるはずです。


そしてもう1つ、日本人の方々がハワイでの不動産投資を好まれるのは、日本語で対応してくれる日本資本の不動産会社が多いからではないかと思います。

 


日本と米国では、不動産取引の方法や契約の中身などがかなり異なります。たとえば米国の不動産取引では、売り主と買い主の間にエスクローという第三者が立って、物件や契約内容の確認を行い、売り主と買い主双方の合意を得たうえで契約を締結するのが一般的です。


もちろん、契約書はすべて英語で書かれていますし、交渉も英語で行わなければならないので、語学に自信のない人が現地の不動産会社に仲介を依頼するのは非常に難しいでしょう。だからこそ、日本資本の不動産会社が多いハワイを好まれるのだと思います。


けれでも、日本資本の中には、現地資本に比べて規模の小さな不動産会社も少なくありません。そのため、購入後のアフターフォロー(管理など)が満足できるものではない会社もあるようです。大きな不動産会社のほうがあらゆる点でしっかりとした対応をしてくれるのは、日本もハワイも同じです。

 

また一部の不動産会社では、販売経験が浅い上に、英語があまり得意ではない新人エージェントに販売・管理を一任しているケースがあります。しかし、そのようなエージェントでは管理はおろか転売時のフォローも期待できません。物件を購入したはいいものの、アフターフォローをまったく受けることができずに困り果てているという方のお話を多く聞いています。そのようなトラブルに巻き込まれないためにも、物件購入時には必ず、担当エージェントの販売経験(取扱物件数)を確認するようにしましょう。

市場シェア15%を誇る「コールドウェルバンカー」

私が所属するコールドウェルバンカーは、日本の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、実はハワイだけでなく、全米でもナンバーワンの不動産会社です。2017年に同業大手「センチュリー21」からハワイ・オアフ島の事業を買収した会社だというお話をすれば、その規模がイメージしていただけるのではないでしょうか。

 

コールドウェルバンカーは、サンフランシスコを襲った大地震の復興支援を目指したコルバート・コールドウェルによって、1906年に設立されました。設立110年を超える歴史を持つ当社は、世界49ヵ国に3,000以上ものオフィスを構えており、最も信頼されている不動産会社のうちの1つです。所属エージェント数は92,000人を超え、ハワイにはホノルルだけで600人以上ものエージェントが所属しており、ホノルルでの市場シェアは15%とトップです。紹介できる物件の数は豊富ですし、小さな不動産会社では手薄になりがちなアフターフォローにも強みがあります。


私はそのコールドウェルバンカーに勤務して今年で15年になります。これまでにハワイで数え切れないほどの不動産仲介をお手伝いしてきました。オアフ島の日本人リアルター(不動産仲介人)としてトップ5に選ばれたこともありますが、その礎になっているのは、やはり圧倒的な「交渉力」だと考えています。

 

日系のエージェントは、英語が得意とはいえないケースが多く、表面的で当たり障りのない交渉しかできません。しかし、気に入った物件が見つかり、「買いたい」と思ったお客さまが、エージェントに一番期待することは何でしょうか。やはり、価格交渉を中心とする「交渉力」です。


私はハワイで15年不動産業に携わっているので、お客さまがお買い求めになりたい物件と類似する物件の相場はしっかり把握しています。ですから、高過ぎる、すなわちオーバープライスはすぐに見抜いて、相場まで下げさせることができるのです。もとの物件価格にもよりますが、1,000万円以上の値下げを引き出せることもあります。


もちろん、売却時の価格についても「これぐらいなら売れる」という相場を正確に把握しています。売却を希望されるお客さまには、まずその価格をストレートにお伝えし、売却という目的を確実に達成していただきます。お客さまが「もっと高く売りたい」とご希望される場合は、もちろんその価格を提示しますが、1ヵ月経ってもオファーが入らないときは、適切と思われる価格を改めてきっちりお伝えします。

 

 

ハワイには、売れるはずのない価格で何ヵ月も何年もリスティングに出され、そのまま放置されている物件がたくさんありますが、これはエージェントにも責任があります。不動産投資では、買った物件を「いかに売却するか?」ということが本当に大切です。私はそれをきっちりお手伝いできるエージェントこそが本物だと信じています。


ちなみに、私はハワイでの不動産購入から売却までのすべてを請け負っています。管理については信頼している管理会社に委託しますが、管理会社とのやり取りについても、すべて私が窓口となって仲介します。「最初から最後まで、すべてミキさん(寺平美希子氏の愛称)がフォローしてくれるのでとても助かります」といったお言葉をもらえるときが一番うれしいですね。

 

取材・文/渡辺賢一
※本インタビューは、2018年7月13日に収録したものです。