海外不動産の中でもメジャーなハワイ不動産。現地宿泊施設の需要は常に過多で、投資対象として人気のあるホテルコンドミニアムなどでも安定的なインカムゲインが期待できる。本連載では、ハワイ現地で長年トップリアルターとして活躍する(年間55件、計35億円/2017年実績)、コールドウェルバンカーの寺平美希子氏に、ハワイ不動産投資の最新事情と「いま現在」の上手な買い方などを伺った。第1回目のテーマは、ハワイ不動産を「投資目的」で買う日本人が増えている理由である。

かつては「移住目的」の購入が大多数だったが・・・

あらためて説明するまでもなく、ハワイは日本の方々にとって最も人気の高い観光地の1つであり、年間約160万人もの日本人観光客が訪れています。一度でも訪れたことのある方なら、その魅力に心を奪われ、「いつかは住んでみたい」「できることなら一生をハワイで過ごしたい」と思うことでしょう。かくいう私も、高校の春休みに初めて訪れたハワイに恋をし、そのまま留学、就職をしてハワイに住み続けている日本人の1人です。在住歴は30年以上になります。


ハワイ・シャミナード大学を卒業後、大手ホテルの営業部長を経て、現在のコールドウェルバンカーに入社しました。後ほど詳しくご紹介しますが、コールドウェルバンカーは全米1位の大手不動産会社です。私はハワイで活動しており、日本人のお客さまの不動産取引も数多くお手伝いしています。


この仕事を始めて15年になりますが、最近感じるのは、日本のお客さまがハワイの不動産を購入する目的が大きく変わってきたことです。

 

 

かつては、私のように「ハワイに住みたい」という移住目的や、リタイアメント後のセカンドハウスとしてハワイの物件を購入する方が大勢を占めていました。しかし、最近は不動産投資のために物件を購入する日本人のお客さまが増えているようです。その理由はいくつか考えられます。


第1に、ハワイの不動産価格が安定的に上昇していることがあげられます。

 

たとえば、ハワイに来た日本人観光客が必ずと言っていいほど訪れる、世界有数のショッピングモール「アラモアナ・センター」のすぐそばに、「パークレーン・アラモアナ」という最高級集合住宅があります。コンドミニアムに一戸建てを融合させたような地上8階建ての建物です。


この建物が竣工した2017年当時、このコンドミニアム1戸(2ベッド)の販売価格は480万ドルでしたが、現在では624万ドルです。わずか2年足らずの間に価格が30%も上昇したのです。そのため、600万~3,000万ドルが「パークレーン・アラモアナ」の現在の価格帯といえるでしょう。高めの販売価格とはなりますが、賃貸需要が非常に高く、高利回りが期待できます。


年数の経過とともに不動産の販売価格が上昇するという話は、いまの日本では考えられないかもしれません。しかし、米国ではそれが当たり前です。ハワイの不動産価格もこの10年、右肩上がりで上昇が続いています。リーマン・ショックのような大きな混乱が起きない限り、この先も10年は手堅く上がり続けることでしょう。タイミングを適切にとらえれば、キャピタルゲインも十分に期待できるはずです。

安定的なインカムゲインや減価償却の効果にも期待

第2に、ハワイの投資用不動産は安定的なインカムゲインが確保できることがあげられます。利回りはハワイよりも日本の物件のほうが高めですが、より客付けがしやすいのはハワイの物件だと思います。なぜなら、「ハワイに移住したい」と考える人は絶えず増え続けているからです。


人口減少が加速している日本では、マンションやアパートを建てたけれど、入居者が確保できず、収益が上がらないことに苦しんでいる方が多いと聞きますが、ハワイではそんなことはありません。安定的なインカムを求めるのなら、日本よりもハワイでの不動産投資が断然有利だと言えそうです。

 


また、ハワイでの不動産投資は税金対策の面でも有利です。なぜなら、価格が高く築年数の古い物件を取得すると、数年の間に多額の減価償却が行えるからです。


とくにハワイの一戸建ては、米国本土の物件に比べて建物割合(土地の面積に占める建物の割合)が高くなることがあり、この場合は、より大きな減価償却効果が期待できます。本土の人々は広い庭を好みますが、ハワイは本土のように土地がいくらでもあるわけではないので、敷地の広さが限られ、結果的に建物割合が高くなってしまうのです。


このようにハワイの投資用不動産は、キャピタルゲイン狙い、インカムゲイン狙い、税金対策と、さまざまな目的にかなった理想的な不動産だと言えます。ハワイの不動産に投資したいと考える日本のお客さまが増えているのは、こうしたさまざまなメリットがあることに着目しているからだと思います。


次回は、ハワイでの不動産会社の選び方などについて詳しく解説します。

 

 

取材・文/渡辺賢一
※本インタビューは、2018年7月13日に収録したものです。