マンション経営では、ほとんどの方が金融機関のローンを利用します。近頃では、40年の長期ローンも利用可能になりましたが、気になるのはマンションの状態。今回は、マンションの寿命について考えてみます。

「法定耐用年数よりも寿命が長い」物件がほとんど

一般の人がマンション経営を始める場合、ほとんどは金融機関のローンを利用します。以前のローン返済期間は、最長でも30年でした。ところが、近頃は金融機関がマンション経営に対するローンに積極的になっていることから、40年の長期ローンも可能になってきました。そこで最近よく耳にするのが「そんなに長い期間返済していたら、途中でマンションの寿命を迎えて、価値がなくなったものに対してローンを払い続けることになる」という不安の声。では、マンションの寿命としてもっとも現実的な年数は次のうちどれでしょうか?


1.20年
2.47年
3.100年

 

A.2.47年

 

<解説>

国は様々な物に対して法定耐用年数というものを定めています。たとえばマンションなど住居用の鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は47年。普通自動車は4年。これは事業を行うに当たって必要な建物や高額な設備などの購入費を、一度に経費計上しないで何年かに分ける減価償却を行うための年数です。

 

物理的な寿命ではなく、国が決めた経済的な価値を維持できる最低限の目安と理解すればいいでしょう。なぜなら「あちゃー、このクルマ4年経ったからもう廃車だぁ」とあきらめている人を見たことがありますか? ないはずです。フェラーリでもベンツでも4年で廃車にしてしまう人が当たり前のようにいれば、全部買い取って私が新しい商売を始めます。実際は、その3倍4倍の12年や16年程度まで乗っている人もいるでしょう。だってメンテナンスをきちんとしていれば問題なく乗れますから。

 

マンションもクルマ同様、法定耐用年数よりも寿命が長いケースがほとんどです。その証拠に、寿命を迎えたマンションを見たことがありますか? 大多数の人はないはずです。日本の第一次マンションブームは、東京オリンピックがあった1964年前後。その結果、築50年でも現役の物件はまだまだあります。

 

特に最近は「100年コンクリート」などと呼ばれている強度の高いコンクリートが使用され、法定耐用年数の倍以上もつと予想されるマンションも増えています。

 

このようなことからマンションは、最低でも47年以上使用できるといえます。もし、築20年程度で修繕を行うとしても、外壁等、ほんの一部でしょう。つまり、よほど古い中古物件を購入しない限り、ローンを完済する前に建物の寿命を迎えることはありません。

相場よりも管理コストが低い物件には要注意

ただしこれは管理体制次第です。マンションに限らず建物は定期的なメンテナンスが必須。十分な管理コストを積み立て、きめ細かくメンテナンスを行っていた物件は、長持ちします。

 

ところがマンション、特に投資用の物件は、メンテナンス費用が足りないことが多いのです。なぜなら販売会社が家賃を高くし、管理コストを低く設定して、利回りをよく見せるケースがあるからです。そのため、相場よりも管理コストが低く設定されている物件は要注意です。新築時は利回りが高く、お買い得な物件に思えるかもしれませんが、10年後、20年後に資金不足でメンテナンスができず、ぼろぼろマンションになる可能性があります。

 

そうなると管理コストが上がり、家賃自体も下がるのでネット賃料も下がり、収益還元法で考えると中古の評価価格も大幅に下がる可能性が高いです。そうなると前述した最終的な運用実績も大幅に悪くなってしまいます。また、多くの賃貸契約では入退去時の、壁紙の張り替えなど専有部分のメンテナンス費用はオーナー持ちがほとんどです。

 

しかし、管理会社の中には、この突発的に発生する費用もサブリース契約に含めているところもあります。管理会社の契約はまちまちですので、契約前に確認した方がいいでしょう。

本連載は、2015年7月2日刊行の書籍『サラリーマンのためのマンション経営一問一答』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者並びに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

サラリーマンのためのマンション経営一問一答

サラリーマンのためのマンション経営一問一答

福田 俊孝

幻冬舎メディアコンサルティング

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