前回は、相続対策の視点から見る「将来の税制改正リスク」を取り上げました。今回は、タワーマンションを活用した相続対策の注意点について見ていきます。

時価と相続税評価のかい離に目をつけた手法のひとつ

たとえば、一時期、ブームとなったタワーマンション購入による相続対策、いわゆる"タワマン節税"の有効性にも注意が必要です。

 

マンションの相続税評価は、マンション全体の敷地を戸数で分けるため、高層かつ部屋数が多いタワーマンションの場合、結果的に一戸あたりの持ち分(敷地権)が小さくなります。

 

よって、マンションの相続税評価額が実勢価格の20%程度になるため、人気の高層階ほど時価との評価額が開き、相続税を節税できる。つまり時価と相続税評価額のかい離に着目した究極の手法として注目を集めました。

 

また、賃貸に出した場合も借り手が多く、将来の値下がりリスクも少ないため、売却しやすいのもメリットとされてきました。

 

しかし、このタワーマンション節税に、ついに国税局によるメスが入りつつあります。

明らかな租税回避行為と見なされた例とは?

2015年、タワーマンション購入による行き過ぎた節税策が行われていないかどうかを厳しくチェックするよう、全国の国税局に指示が出されたほか、「租税回避行為」を否認する事例も発生しています。

 

約3億円のマンションを、相続人である父から相続したケースで、親族は相続評価(財産基本通達)の約6000万円で評価し、相続税を申告しました。しかし、実際は、認知症である父親が亡くなる1カ月前に親族が代理人となって購入したもので、その4カ月後には、購入額とほぼ同額の3億円で売却したことが明らかになります。

 

国税局は「税負担を避けるため、判断能力のない父親の名義を無断で使って契約した」とし、「相続前後の短期間だけ所有したマンションを通達で評価するのは不公平」という判決により、購入時の価格3億円で修正申告が求められることとなりました。

 

このケースでは、「購入日と相続発生が近い」「相続発生後に即売却した」「賃貸募集もせず空室のままだった」ことが、明らかな租税回避行為と見なされた要因といえます。

 

国税庁や総務省では、さらなる課税強化も検討しており、2018年をメドに新しい評価基準に切り替える見込みです。具体的には物件の実勢価格に合わせて、高層階ほど高い税負担を課し、低層階では軽くする案などが検討されています。

 

タワーマンションを活用した相続対策については、税制改正の行方を注意深くウォッチする必要があり、私の会社でも、購入を検討している方、およびすでに保有している方に向けて注意喚起とアドバイスを実践しています。

 

こうした税制改正リスクに備えていく上でも、「建物を建てたら建てっぱなし」「一回、相続対策を講じたら、それでオシマイ」ではなく、プロを味方につけ、長期スパンで対策を講じていくことが肝要なのです。

本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

あなたの資産を食い潰す 「ブラック相続対策」

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秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

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