今回は、不動産投資は今後、「やめたほうがよい」理由を説明します。※本連載では、TSPコンサルティング株式会社の代表取締役で、ファイナンシャル・プランナーの佐藤毅史氏の著書『お金でバカを見ない人になる36の知恵』(サンマーク出版)の中から一部を抜粋し、自分の財産を守るためのポイントをQ&A形式で解説していきます。

「よほど優れた立地の優れた物件」でもない限り・・・

【質問】

株がダメなら、不動産投資はどうですか?

 

先に結論を言いますが、不動産投資は〝絶対に〟儲かりません。

 

親から土地を譲り受けた、みたいにすでに土地を持っている人なら話は別ですが、それ以外の人はぜーったいに損します。

 

日本で人口減少が進んでいるのはご存じのとおりです。そんな国でマンションやアパートを次々と建ててどうなるかといったら、必ず需給のバランスが崩れます。つまり、空室問題のようなことが起こりえます。

 

私はファイナンシャル・プランナー(FP)ですから、収支計算もしたうえでの提言です。儲かりませんから手を出さないでください。

 

不動産投資は収益構造が単純で、「収入−支出=手取り」という式で表せます。収入とは家賃収入で、支出とは修繕積立金や固定資産税などです。

 

よく、日本はこれからインフレになっていくから家賃収入が増えていくという人がいますが、そんなことはありません。建物の老朽化などで家賃は基本的に時間とともに下がっていきます。それに家賃が増える前に、まずインフレのせいで支出が増えるんです。

 

つまり支出が増えるのに収入が減るから、よほど優れた立地の優れた物件でもない限り、損をするというわけです。

 

 

どんどん減っていくマンションの「借り手」

今はいいんですよ、今はね。

 

でも、これから人口が1億人を切ることを考えてみてください。2015年現在で1億2000万超いる日本人は、人口動態統計や国勢調査に基づいて、2060年には9000万人を割り込むと推計されています。

 

これからどんどん日本人は減るんです。つまりマンションの借り手がどんどん減るということです。

 

しかも、マンションは建物ですから必ず老朽化します。

 

仮に、新築のワンルームマンションを購入したとしましょう。当然ですが15年後は築15年になります。そのころにはまた新しいマンションがまわりに建っているはずです。もしあなたが借り手だとしたら、どちらを選びますか?

 

賃貸に住んでいる人は、更新料を払って住み続ける人もいますが、やはりどこかのタイミングで引っ越しますよね。ということは、数年で借り手は出ていくわけです。その後、入居してくれるかといったら……選択肢として他に新築のキレイなマンションがあれば……あなただったらどちらを選びますか?

 

しかも、これから人口減の時代だとはいえ、どんどん増えてくる世代があります。もうおわかりですよね、高齢者です。

これからの時代には「リスク」が大きすぎる不動産投資

ここからは不動産管理も事業の柱にしている者としての経験則からお話ししますが、「事故物件」という言葉を聞いたことがありますか。事故物件とは、自殺・他殺などの死亡事故や火災などがかつて発生した履歴のある、格安で取引される物件です。

 

これがけっこう多いんです。ためしに、インターネットで「大島てる」と検索してみてください。これは不動産業者の間では有名な、事故物件の情報を収集しているウェブサイトなんですが、これを見ると、いかに事故物件が多いかがわかると思います。

 

日本はここ数年、年間で3万人近くの自殺者がいますし、これからは高齢者の孤独死も増えると予想されます。あなたの物件が、彼らの「終の住処」になってしまったら、事故物件扱いとなり、相場より安い賃料でも借り手がつかなくなるでしょう。あなただったら、そんな物件に住みたいと思いますか?

 

NO! ですよね。

 

あなたが入りたくない物件を誰が借りてくれるでしょうか。

 

ですから、これまた株の投資といっしょで、不動産投資はこれからの時代にはリスクが大きすぎるんです。

 

株も不動産も、その運用は強欲な人間のすることです。あわよくば儲かるかもしれないという欲深さにつけこんで、証券会社や不動産会社があなたを食いモノにしようとするんです。まずはそこを知っておいてください。

 

あなたが株や不動産に投資する目的は「運用」することではないはずです。

 

【答え】

近いうち、必ず需要と供給のバランスが崩れるので、不動産投資はやめるべきです。

 

本連載は、2015年10月刊行の書籍『お金でばかバカを見ない人になる36の知恵』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

お金でバカを見ない人になる36の知恵

お金でバカを見ない人になる36の知恵

佐藤 毅史

サンマーク出版

世の中には「ウラがある」話がけっこうあります。電子マネーやクレジットカード、株、投資信託などはその典型です。いずれも「便利ですよ!」「お金が増やせますよ! 」「初心者にも安心ですよ! 」という言葉で本質を見えなく…

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