前回は、不動産の目利きに必要な三つのポイントについて解説しました。今回は、何かともめてしまうことの多い二次相続の対策について基本的な考え方を見ていきます。

一次相続でもめるケースは意外に少ないが・・・

配偶者(母親または父親)のいる一次相続では、配偶者の生活を考えて配偶者が多くの資産を引き継ぐのが一般的で、資産の分割でもめることはあまりありません。税負担を考えても、配偶者が法定相続分もしくは相続税評価額で1億6000万円相当までの資産を相続する場合、「配偶者控除」によって非課税になります。配偶者がなるべく多く資産を引き継ぐ方が有利になるケースが多いのです。

 

しかし、二次相続になると相続人は兄弟姉妹だけとなり、話をまとめる重石になる人がいません。戦後の民法では兄弟姉妹の権利は平等ですから、それぞれ言いたいことを言い合い、けんか別れになることも珍しくありません。また、二次相続になると配偶者控除は使えないうえ、すでに一次相続で納税資金を使い果たして納税資金に窮するケースが多くなります。

 

そう考えると、一次相続の後、なるべく配偶者には長生きしてもらい、二次相続が発生するまでの間、十分な納税資金がたまるように資産からインカムを得ることが重要となります。

二次相続対策を行う絶好のタイミングとは?

そもそも、二次相続の直前に相続対策を行っても、その効果には限度があります。二次相続の対策を行う絶好のタイミングは、実は一次相続が発生したときです。一次相続の際、同時に将来の二次相続について検討するのです。

 

例えば、預貯金等は配偶者が相続し、その預貯金を頭金として同額の借り入れを加え、優良な収益不動産を購入します。それによって相続税評価額を下げながらインカムを得て、それを相続人にあらかじめ贈与したり、資産管理会社を通じて所得分散を図ったりするのです。こうした戦略的な相続対策のプランニングは、経験豊富な不動産コンサルタントでなければ、なかなかできません。

本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成27年4月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

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