不動産「経営」こそ最大の節税対策になると前回お伝えしました。今回はそのために必要な不動産の見るべきポイントについてお話します。

不動産を目利きする三つのポイントとは?

不動産の目利きには、三つのポイントがあります。

 

まず、「収益力」です。価格の割に賃料収入が多ければ表面利回り(賃料収入÷価格)が高くなり、収益性が良いように見えます。築20年とか30年の物件によくあるケースです。

 

しかし実際には、管理費や補修工事の費用がかさみ、それらを賃料収入から差し引いて計算したネット利回り(NOI利回り)では、数値が大きく下がります。こういう見かけだけの高収益物件が、不動産市場には数多く出回っています。表面利回りだけに惑わされないことです。

 

次に「換金力」です。これからの時代、不動産をずっと所有するのではなく、市場の状況や自分の資産ポートフォリオに応じて随時、売却したり買い替えたりしていく必要があります。特に、納税資金を捻出するために売却するときなど、すぐ売れるかどうかは死活問題です。

 

しかし、地方や郊外などの物件はどうしても買い手が少なく、いざ売ろうとしても時間がかかり、思ったような価格で売却できないことがあります。場合によっては、買い手がまったくつかない可能性もあります。他人がその不動産をどう思うか、多くの人が好むのはどういう不動産かということを常に意識しましょう。

 

そして「節税力」です。相続税の節税の基本は、不動産市場での価格(時価)と相続税評価額の乖離に着目することです。タワーマンションの最上階に近い住戸などはこの乖離が大きく、話が分かりやすいと思います。

 

大通りから少し入った、それほど広くない道路に面したオフィスビルや賃貸マンションも狙い目です。大通りに比べて路線価が低いにもかかわらず、大通りに立っている同じような物件と賃料にそれほど差がないからです。また、建物は築年数がある程度経過していた方が、時価と固定資産税評価額の乖離が広がり、節税力があるといえます。

「節税力」を優先するのは誤り

これら「収益力」「換金力」「節税力」の三つは決して相反するものではありません。むしろ、相乗効果を生みます。「収益力」が高い物件は「換金力」にも優れ、さらに「節税力」も十分備えているのです。

 

ただし、繰り返しになりますが「節税力」を優先すると墓穴を掘ります。まず「収益力」と「換金力」があるかどうかを見極め、その上でそこそこの「節税力」があればよしとすことが大事です。

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    本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
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    余命一カ月の相続税対策

    余命一カ月の相続税対策

    福田 郁雄,木村 祐司

    幻冬舎メディアコンサルティング

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