相続対策というと、ついつい「節税」ばかりに目がいきがちですが、今回は「収益」という観点の重要性を見ていきます。

将来にわたっての継続的なインカムを確保する

相続対策については、不動産だけでなく保険や信託などたくさんの手法が存在します。しかし、節税という点で圧倒的に効果が大きく、実用的なのは収益不動産を使った対策です。その分リスクも大きいので、基本的な考え方をよく理解することと、実行にあたってはプロの良心的なアドバイスが欠かせません。

 

まず理解しておいていただきたいのは、相続対策というとつい「節税」にばかり目がいきがちですが、大事なことは収入を増やすことです。収入が増えるのであれば、ある程度、相続税がかかっても心配はいりません。

 

そのためには、収益を生む不動産の目利きが大事になってきます。ここでいう「収益」とは、目先の収益だけでなく、10年後、20年後という将来の資産価値を含めたトータルな収益です。
 

日本の資産家の特徴として、不動産をたくさん所有していることが挙げられます。そして、不動産が多いと資産額がふくらみ、バランスシート(BS)は大きくなりがちです。固定資産税や相続税も高くなります。

 

ところが、そのたくさんある不動産が収益を生んでいないために、収支(PL)がぱっとしません。デフレで地価が下がり、賃料も頭打ちだったことがそれをより深刻にしてきました。

 

相続対策のポイントは、不動産という資産からのインカム(収入)を増やし、PLリッチになることです。PLリッチになるためには、確実なインカムが欠かせません。確実なインカムとは短期的な収益ではなく、将来にわたって継続的に見込めるインカムです。

不動産「経営」こそ最大の相続税対策

賃貸マンションやアパートは、新築当初はどんな立地でもそれなりに入居者を確保できますが、10年を超えてくると「勝ち組」と「負け組」にはっきり分かれます。20年、30年先も稼げる収益不動産にしなければなりません。

 

結局のところ、不動産「経営」こそ最大の相続税対策になります。そのためには入口のところで、不動産の目利きをしっかり行わなければならないのです。

本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成27年4月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

突然やってくる“その時”、わずかな時間でできる対策は限られています。しかし、正しいノウハウをもってすれば、相続税対策は2週間程度で完了、相続税をゼロにでき、それどころか、子孫に受け継いだ資産がその後も増え続けて…

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