今回は、ミャンマーで「安くてお得」なサービスを求めるリスクについて見ていきます。本連載では、日本ミャンマー支援機構で約300社の海外進出のサポートを行ってきた日本人アドバイザー・深山沙衣子氏の著書、『ミャンマーに学ぶ海外ビジネス40のルール』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、ミャンマー人の国民性や彼らのビジネス慣習などを紹介します。

日本には「安くてお得」な商品があふれているが・・・

日本では、全国展開している100円ショップやスーパーマーケット、ユニクロなど、安くて実用的なものを買える店が、幅広い世代に支持されています。洋服も数年間着回すことができれば、多少の色あせなど気にならないという人も多いと思います。そう思えるのは、「1900円で、これだけたくさん着られたのだから、よしとしよう」と、消費者が納得できるクオリティが維持されているからです。私たち日本人は、「安くてお得」なものに囲まれています。

 

ところが、ミャンマーに「安くてお得」なサービスがあるかと問われたら、答えはNOです。ミャンマーで、見た目が綺麗な「あかこすり」を安価で買ったとき、たった3日でボロボロになってしまいました。

 

小さな生活用品だけではなく、医療においても「安くて充実した治療」は期待できません。医療設備が整った総合病院で受診すると、1回の診察でミャンマー人の平均月収の半分以上も請求されます。日本では健康保険制度が整備されているので、大病院でもクリニックでも、同じような医療なら受診者の負担額にそう差はでてきません。しかし、ミャンマーでは健康保険制度が普及しておらず、大病院では高額な医療費を請求されるため、一般的な人々が総合病院を受診することは稀です。

 

一般的な人が治療を必要とするときは、街中の一角にある小さなクリニックに行きます。安価な診察代で患者の診察をして、薬も処方してくれるため、一般的な給与所得者たちはクリニックを頼りにするほかありません。安く診てくれて、きちんとした処方薬も出してくれるなら悪いところなどないではないかと思うのは、気が早いです。

 

私も過去にクリニックで受診したことがあるのですが、瓶の中の薬剤を小袋に詰めて渡すだけで、子どもにも、大人と同じ錠剤を半分に割って出すだけでした。このクリニックで処方された薬を飲んで、子どもが具合をより悪くしたという話や、同じ治療をしても治る人と悪化する人がいるという話を耳にし、空恐ろしくなって逃げるようにクリニックを後にしました。安価な医療貢献をしていても、処方薬の効果の差が激しいクリニックなんて、日本では考えられないでしょう。

「安かろう、悪かろう」の考え方がミャンマーでは常識

「安かろう、悪かろう」は通訳の世界にも存在します。ベテランで実力のある通訳は、日額でミャンマー人の平均月収以上の金額を要求してきます。その代わり、しっかりと仕事をしてくれます。逆に、高額なギャランティを要求できない通訳者は、実力に差があるので注意が必要です。実力がある人と、そうでない人が確実に混在しています。

 

ミャンマーだけでなく、経済的に発展していない国に「安くてお得」の概念を持ち込むのは無謀です。安い商品を買って、すぐに壊れたからと売り手に文句を言っても相手にされません。なぜなら、それは「安くて悪いものだから。悪いものだから安い」のですから。

 

自分の足で探し回り、直接確認することを続ければ、いつか「安くてお得」なサービスに出合えるかもしれません。しかし、その時間が惜しいと思うのなら、高額だけど品質が保証されたものを選択するのが賢明でしょう。

本連載は、2016年4月30日刊行の書籍『ミャンマーに学ぶ海外ビジネス40のルール』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ミャンマーに学ぶ海外ビジネス 40のルール

ミャンマーに学ぶ海外ビジネス 40のルール

深山 沙衣子

合同フォレスト

双方の歩み寄りが未来を開く! 異文化地域とのビジネスは言葉以上のカルチャーショックだらけ。 この一冊に相互理解のヒント満載。 ミャンマーを中心に約300社の海外進出のサポートを行ってきた著者が明かす、円満海外ビジネス…

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