今回は、ミャンマーでビジネスを行うために知っておきたい現地の通信事情を見ていきます。本連載では、日本ミャンマー支援機構で約300社の海外進出のサポートを行ってきた日本人アドバイザー・深山沙衣子氏の著書、『ミャンマーに学ぶ海外ビジネス40のルール』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、ミャンマー人の国民性や彼らのビジネス慣習などを紹介します。

ミャンマーでは「電話がつながるとは限らない」!?

今の日本では、ビジネスでもプライベートでも、携帯電話やインターネットが手放せません。一昔前は、携帯電話も一部つながりにくい地域があったものの、今ではほとんどの地域でクリアな音質で通話できるようになりました。ビジネスにおいても、ほとんどがオンライン化され、パソコンとインターネット接続は重要なビジネスツールとして普及しています。

 

電話やインターネットのやりとりは、タイムリーに情報を共有できる利便性から、世界中で積極的に取り入れられていることでしょう。しかし現状、かつての日本と同じように、オンラインシステムを整備している最中の国や地域がたくさんあります。

 

私はミャンマーの企業や個人と連絡をしなければならないことが多々あるのですが、そのときは「電話がつながるとは限らない」という前提でコールします。

 

ミャンマーにもインターネットや携帯電話はあります。しかし、日本のように満足できるレベルではなく、通信環境はまだ整備中の段階です。携帯電話を持っている相手に電話をかけても、電波が弱くて、通話が途切れてしまうこともあります。話の続きをするためにかけ直しても、すぐにつながるとは限らず、必要に応じて辛抱強くかけ直すしかないのです。

ミャンマー人からの「折り返し電話」は期待できない

日本人の多くは、仕事の話をしている最中に電話が途切れた場合、双方がすぐにかけ直したり、良好な電波状況を確保するために場所を変えたりするでしょう。通話が途切れたまま数日もたってしまった……などの状況は稀だと思われます。プライベートのやりとりでも、急に音信不通になったら心配するはずです。

 

ところが、ミャンマーに住む人とやりとりをしている最中、ある日突然、音信不通になることは珍しくありません。こちら側がコンタクトを取ろうと必死で電話やメールをしても、つながりにくい環境なのだから、レスポンスが悪くても仕方がないのです。さらに、ミャンマーに住む人は、連絡が途絶えることに慣れてしまっている節があり、慌ててかけ直してくることも稀なのです。

 

日本で固定電話が主流の時代も、ミャンマーでは電話普及率が低く、回線も不安定でした。どうしても用事があるときは、電話を設置している近所の家にかけて、目当ての人を呼んでもらってようやくつながるのが日常的でした。携帯電話が普及する以前から日本にいるミャンマー人は、「午前中に電話をかけて呼び出してもらい、会話を終える頃には日が暮れていることもザラだったよ」と言います。

 

こうした背景から、ミャンマーで暮らす人も、日本で暮らすミャンマー人も、電話をかけることはお互いに苦労が伴われるという意識があるようです。そのため、あちらから電話をかけ直してくることは、よほどの理由がなければないだろうと思っていたほうがよいでしょう。

 

メールも同様で、インターネット回線が全域的に普及しているとは限りませんし、接続も時間がかかります。タイムラグなしのやりとりを望むならば、直接顔を合わせることが一番なのです。

 

相手から折り返しの連絡がないからといって、不安になる必要はありません。相手の状況や環境を考慮して、こちらからかけ直せばよいのです。特に海外の人とやりとりをする場合、こうしたケースもあるのだと、頭の片隅に入れておくことをおすすめします。

本連載は、2016年4月30日刊行の書籍『ミャンマーに学ぶ海外ビジネス40のルール』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ミャンマーに学ぶ海外ビジネス 40のルール

ミャンマーに学ぶ海外ビジネス 40のルール

深山 沙衣子

合同フォレスト

双方の歩み寄りが未来を開く! 異文化地域とのビジネスは言葉以上のカルチャーショックだらけ。 この一冊に相互理解のヒント満載。 ミャンマーを中心に約300社の海外進出のサポートを行ってきた著者が明かす、円満海外ビジネス…

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