「自己資本比率」が高くても会社が安泰とはいえない理由

前回は、「固定負債」の分析でチェックしたい事業規模とのバランスについて解説しました。今回は、「自己資本比率」が高くても会社が安泰とはいえない理由を見ていきます。

債務超過だけが「倒産寸前」ではない!?

⑤ 自己資本比率

(自己資本÷負債+自己資本)×100%

 

《ある本に記載されている内容》

自己資本比率は、BSの総資産における自己資本の比率を、パーセンテージで表したものです。30%以上なら安心とされています。

 

50%以上:超優良

30%以上:まあまあ

10%未満:危険

マイナス:倒産寸前

 

《著者の視点》

自己資本比率の評価に関しては、公認会計士の先生が書いたある本の内容が近いと感じます。私が経営する会社が保有する財務データで検証すると、倒産企業の約50%が、自己資本比率1〜10%内に分布していたからです。

 

しかし、「マイナス(債務超過)=倒産寸前」という考えには疑問があります。私の経営する会社の保有する財務データで検証すると、自己資本比率がマイナス(債務超過)で倒産した企業は約22%だったからです。

 

もしかしたら、倒産企業の多くは利益を粉飾して自己資本を増やし、自己資本比率がマイナス(債務超過)になるのを回避しているのではないでしょうか?

「金融機関と取引がない」ことがリスクになることも…

また、自己資本は大きく株主が出資した資本金部分と、過去の利益の蓄積である利益剰余金の2つに分けられます。株主に多額の出資をしてもらっているのか、利益を蓄積して自己資本が厚くなっているのかで、自己資本の意味合いも異なってきます。

 

ちなみに、2015年に民事再生法を申請したスカイマークの2014年3月本決算の自己資本比率は56.2%でした。金融機関との取引実績がなく、資金調達の方法が株式市場からのみとなっていたことが倒産の大きな原因の一つと推測します。危ない、苦しいという噂が立ってしまったら、投資家に出資してもらうのは非常に難しいからです。

 

もちろん、噂が立ってしまったら、借入があったとしても金融機関からは支援してもらえないかもしれません。しかし、倒産されて貸し倒れるよりも、多少融資を追加して援助するほうが合理的ならば、支援してもらえる可能性はあるはずです。無借金経営は良いとされていることが多いですが、金融機関と取引がないことがリスクとなることもあります。

 

【図表 自己資本比率】

 

本連載は、2016年10月12日刊行の書籍『取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載「決算書分析」で取引先の支払い能力を見極める方法

アロックス株式会社 代表取締役社長

大学卒業後、機械メーカーの営業職を経て、「倒産リスク情報」を販売する企業に入社。商社や金融機関、メーカーの調達部門などを中心に、数多くの企業の与信管理業務やサプライヤ管理業務をサポートする。2013年3月、アロックス株式会社を設立。決算書に基づいた倒産リスク評価を行うソフトウェア「アラーム管理システム」を提供し、「決算書を読めない人の数をゼロにする」ことを目標に、システム開発やセミナー等を行っている

著者紹介

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

取引先の倒産を予知する「決算書分析」の極意

田中 威明

幻冬舎メディアコンサルティング

分業化、グローバル化が進んでいる現代にあって、自社のみで事業を営むことはできません。取引先の経営状況を正確に把握することは、これからの時代を勝ち残るために必要不可欠です。 しかし、教科書的な決算書分析の手法で、…

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