(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。

 

●昨年来注目ポイントは企業業績、企業改革、賃金の3点、このうち企業業績は改善傾向にある。

●資本効率改善の取り組みと開示が進み企業改革も改善傾向、賃金も改善傾向継続の期待大。

●円安なども好材料だが、日本株に構造変化発生なら、日経平均の過去最高値更新は通過点か。

昨年来注目ポイントは企業業績、企業改革、賃金の3点、このうち企業業績は改善傾向にある

2023年12月5日付レポートでは、日本株の注目ポイントとして「企業業績」、「企業改革」、「賃金」の3点を挙げ、この先いずれも改善傾向が確認されれば日本株にとって強い追い風となり、一段の株高も期待されると解説しました。その後、日経平均株価は2024年2月13日、レポート発行日から15.8%上昇し、37,963円97銭と1990年1月11日以来約34年1ヵ月ぶりの水準で取引を終えました。

 

改めて3つの注目ポイントの現状を確認すると、まず、企業業績について、3月期決算企業の4-12月期決算は総じて良好ですが、市場の関心はすでに来年度の業績に移行しつつあると思われます。そこで、東証株価指数(TOPIX)構成企業の12ヵ月先の予想1株あたり利益(EPS)をみると増加基調が続いており(図表1)、企業業績は改善傾向にあると判断されます。

 

[図表1]TOPIXの12ヵ月先予想EPS

資本効率改善の取り組みと開示が進み企業改革も改善傾向、賃金も改善傾向継続の期待大

次に、企業改革について、2023年3月31日の東京証券取引所(以下、東証)の要請に基づき、企業は資本効率改善への取り組みと開示を進めています。東証が2023年8月29日に公表した資料によると、開示済みの3月期決算企業の割合はプライム市場全体で19.6%でしたが、2024年1月15日の公表資料では47.8%に増加し、企業改革も改善傾向が確認されました。

 

そして、賃金について、日銀が2024年1月31日に公表した「主な意見」では、「今春の労使間賃金交渉の結果が、昨春の実績を上回る可能性」を指摘する声が上がり、「中小企業も含めて賃上げに期待が持てる」との意見もみられました。労働団体の「連合」は2024年3月15日に春季生活闘争(春闘)の第1回回答集計の結果を公表しますが、平均賃上げ率は2023年の3.58%を超え、賃金の改善傾向が続くとの期待が広がっています。

円安なども好材料だが、日本株に構造変化発生なら、日経平均の過去最高値更新は通過点か

このように、企業業績と企業改革の改善傾向が確認されたこと、賃金の改善傾向への期待が高まっていることが、日本株上昇の背景にあると思われます。また、年明け以降、米利下げ観測の後退などによるドル高・円安の進行や、ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数の過去最高値更新は、日本株にとって追加的な好材料となり、株高のスピードは想定以上の速さになりました。

 

日経平均は、すでに10年以上続く長期上昇トレンドを上抜けているため(図表2)、買われ過ぎとの見方もありますが、企業改革や賃上げは、ここ10年以上なかった動きであることを踏まえると、大幅な株高は日本株に「構造変化」が生じたためと解釈できます。この場合、日経平均はより右肩上がりの新たな上昇トレンドを形成し、過去最高値である38,915円の更新も、通過点となる展開は十分考えられます。

 

[図表2]日経平均株価の長期上昇トレンド

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日経平均〈史上最高値〉も視野…日本株を押し上げる「3つの注目ポイント」と「追加的な好材料」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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